研究課題/領域番号 |
20H03073
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山野 隆志 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (70570167)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | 相分離 / CO2濃縮機構 / ピレノイド / 葉緑体 / クラミドモナス |
研究開始時の研究の概要 |
相分離は、溶液が均質に混じり合わずに二相に分離する現象である。相分離の考え方を導入することで、膜のないオルガネラの形成、染色体の構造と転写制御、タンパク凝集が引き起こす病気の原理などが統一的に理解できることから、細胞生物学の分野を中心に注目を集めている。しかし、「相分離生物学」とも呼ばれるこれらの知見の集積は、動物細胞を用いた研究に限定されていた。本研究は、藻類が持つ相分離するオルガネラをモデルとして、水圏環境の光合成の維持に関わるCO2濃縮機構を相分離の視点で捉え直すことである。相分離生物学にこれまで視点が欠けていた植物の知見を取り入れ、生命現象における相分離の普遍性と多様性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、藻類が持つ液-液相分離(以下、相分離)するオルガネラをモデルとして、水圏環境の光合成の維持に関わるCO2濃縮機構を相分離の視点で捉え直すことである。これにより、動植物に共通した相分離オルガネラの形成・分裂の分子メカニズムを探る。具体的には、藻類の葉緑体内に多く見られる、CO2固定酵素Rubiscoが凝集した構造であるピレノイドについて、1) 相分離する性質を持つピレノイドの構成因子、2) ピレノイド構成因子の1細胞観察によるドロプレット内の分子の振る舞い、3) 相分離の状態が異常になったピレノイド変異株のスクリーニングによる、ピレノイドの消失・生成・数・分裂を制御する因子の同定、について明らかにする。昨年度は、2021年度に立ち上げたマイクロ流体デバイスを用いたピレノイド分裂の高解像度リアルタイム1細胞観察系を用いて、異なる環境条件(主にCO2濃度条件)におけるドロプレット内の分子の振る舞いを定量的に測定し、環境条件におけるドロップレットの性質の違いを明らかにした。また、2021年度に単離したピレノイド形成不全株の解析を進め、その結果を国内外の学会で発表するとともに、国際学術誌に報告した(Shimamura et al. 2023)。さらに、ピレノイドの数に注目し、その数が異常になった変異株の単離を進め、その解析結果について、プリンストンで開かれた国際会議で招待講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ピレノイド形成異常変異株の表現型解析結果について、原著論文として報告したとともに、ピレノイドの高解像度リアルタイム1細胞観察を用いた新規ピレノイド形成変異株の単離と解析を進めており、論文投稿の準備をしていることから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
Rubisco、ピレノイド周囲に局在するタンパク質、デンプン鞘に局在するタンパク質、ピレノイドチューブ(ピレノイドに貫入したチラコイド膜)に局在するタンパク質とVenusとの融合タンパク質を発現する株を作出し、細胞分裂時におけるそのダイナミクスを評価する。また、これまで単離したピレノイドの数が異常になった変異株の原因遺伝子を同定し、機能を解析するとともに、その変異株におけるピレノイド分裂の様子を同様に1細胞観察する。野生株と変異株のピレノイドの分裂の挙動を定量的に比較解析できる系を立ち上げる。
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