研究課題/領域番号 |
20H03075
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
杣本 智軌 九州大学, 農学研究院, 准教授 (40403993)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 粘膜ワクチン / ギンブナ / 粘膜関連リンパ組織 / 腸管免疫 / 抗体産生応答 / B細胞 / IgM抗体 / IgT抗体 / T細胞 / 腸管粘膜リンパ組織 / ウイルス / 記憶T細胞 / 粘膜免疫 / 経肛門挿管法 / Immunoglobulin T (IgT) / 記憶T細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
全身粘膜組織で覆われている魚類にとって、粘膜ワクチンは長期免疫記憶を付与することが可能な有望なワクチンとして期待されている。本研究は、粘膜抗原投与法によって生成される魚類の記憶T細胞の誘導機構を明らかにする。先ず、エラ、体表、腸管や鼻腔に存在する魚類の代表的な粘膜関連リンパ組織に抗原を直接投与し、その後の抗原特異的な免疫応答を明らかにする。次にクローンギンブナを用いて生体内の移植細胞を追跡することで、魚類の循環型、常在型のT細胞を同定しその動態を調査する。これらの研究により、魚類の粘膜ワクチンの有効性および粘膜免疫系における記憶T細胞の機能解明が期待される。
|
研究実績の概要 |
これまでに、4か所の粘膜組織(体表、エラ、皮膚、腸管、鼻腔)にギンブナ造血器壊死ウイルス(CHNV)をギンブナに直接投与したところ、経肛門挿管法が最も高いCHNV特異的IgM産生応答を誘導した。また、腹腔内接種と腸管投与した場合、腹腔内接種後、腸管組織破砕液においてIgM産生応答がみられた。本年度からは、抗原投与後の腸管における記憶B細胞の存在を確める。CHNVを腹腔内と腸管に投与し、血液中の抗体産生応答が収束したあと、腸管の前部と後部を採取し培養液に入れ、CHNVで再刺激した後の培養液中のIgMとIgTの抗体産生応答を測定した。しかし、腸管には常在細菌がいるため抗生物質を存在下でも、細菌が増殖し抗体産生量を測定することができなかった。今後、培養液に添加する抗生物質の濃度や種類などを検討する必要がある。 本年年度は、B細胞の局所免疫応答だけでなく、T細胞の粘膜組織の役割について検討した。粘膜組織のT細胞の分布を幅広く調べるため、粘膜器官(鼻腔、鰓、鰭、前腸、後腸、鱗)におけるCD8+T細胞とCD4+T細胞や他の白血球の割合をフローサイトメトリーで解析した。すべての粘膜器官に存在するCD4+とCD8+T細胞の割合は、腎臓の割合と比べて高いことが確認できた。その中でも腸管ではCD8+T細胞が多く、その他の粘膜器官ではCD4+T細胞が多かった。粘膜組織におけるT細胞の割合は、マクロファージや顆粒球と比較して高かった。以上の結果から、粘膜組織においてT細胞は重要な細胞であることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
腸管組織内のB細胞のin vitroにおける抗体産生応答の測定系を確立することができなかった。また、腸管免疫後のIgTとIgMの産生応答の解析において、免疫回数や間隔などの条件を変えての更なる試験を実施する必要であるが遂行できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
in vitroでの組織培養条件を検討し、局所免疫後の腸管組織内の記憶B細胞の応答の解析を確立する。また、局所免疫におけるT細胞の解析も並行して解析する。
|