研究課題/領域番号 |
20H03077
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
安元 剛 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (00448200)
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研究分担者 |
井口 亮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (50547502)
安元 加奈未 東京理科大学, 薬学部薬学科, 講師 (70412393)
安元 純 琉球大学, 農学部, 助教 (70432870)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2020年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | 石灰化 / CO2固定 / サンゴ / ポリアミン / 蓄積型リン / CO2 / 石灰質の底質 / リン酸塩 |
研究開始時の研究の概要 |
CaCO3を含む硬組織を持つ海洋生物の多くは,約5億年前頃のカンブリア紀以降に出現した。石灰化に関しては一つの祖先種がその能力を獲得し,その後多様な種に適応拡散したのではなく,多くの種に独立に石灰化能が獲得された可能性が高いとされている。しかし,何故類似の石灰化反応を多くの種が,ほぼ同時期に獲得したのかは不明である。本課題は,研究代表者らが新たに発見したポリアミンとCO2の高い親和性という化学的知見から「海洋生物の石灰化(CaCO3形成) 反応においてポリアミンがCO2濃縮およびpH調整に寄与している」との仮説を立証することを目的に研究を行い,謎が多い海洋生物の石灰化機構に迫りたい。
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研究成果の概要 |
本研究では、ミドリイシサンゴなどの海洋生物におけるCaCO3形成機構を詳しく調査するとともに、CaCO3形成反応に着目し、硬骨格を持つ海洋生物の成長環境について検討した。研究結果から、ポリアミン輸送体が石灰化部位のpH上昇に寄与していること、高CO2条件下では、サンゴの骨格形成とポリアミンによる石灰化反応との間に高い相同性が存在することが判明した。また、蛍光リン酸プローブを開発し、これが稚サンゴの石灰化部位に細胞間隙を通じて迅速に吸着し、骨格形成を阻害することもわかった。さらに、石灰質の底質に蓄積されるリン酸塩の量と稚サンゴの密度との間に相関関係があった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
海洋生物の石灰化機構の詳細は明らかになっていないにもかかわず、石灰化に伴いpHが低下しCO2が放出さると考えられてきた。しかし、本研究では石灰化部位のpHは逆に上昇しており生体ポリアミンの関与が示唆され、海洋生物の骨格形成はCO2固定となることが推定される。 本研究による知見は、海洋生物の地球の炭素循環との関わりを正しく理解し、海洋生態系保全に大きく貢献する可能性を持っている。また、サンゴの石灰化反応がリン酸塩に対して非常に脆弱である理由と、石灰質の底質に蓄積したリン酸とサンゴの白化や稚サンゴ密度に影響を及ぼすことから新たな陸域負荷対策につながることが期待できる。
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