研究課題/領域番号 |
20H03090
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松下 幸司 京都大学, 農学研究科, 教授 (90199787)
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研究分担者 |
仙田 徹志 京都大学, 学術情報メディアセンター, 准教授 (00325325)
山口 幸三 京都大学, 学術情報メディアセンター, 研究員 (10436751)
高橋 卓也 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (20336720)
吉田 嘉雄 京都大学, 学術情報メディアセンター, 研究員 (80724012)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,990千円 (直接経費: 12,300千円、間接経費: 3,690千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 森林所有者 / 森林管理 / 森林の境界 / 森林簿 / 農林統計 / 農林業センサス / 森林組合一斉調査 / 住宅・土地統計調査 / ミクロデータ / 滋賀県 / 生産森林組合 / 森林組合統計 / 細分化 / 森林組合 / 土地統計 |
研究開始時の研究の概要 |
所有者が不明な森林、境界が不明な森林が全国的に増えている。2016年に林地台帳整備が始まり、2018年に森林経営管理法が制定された。しかし、森林所有者の総数、森林所有世帯の構成などの基本情報が著しく不足している。全国・地方自治体・旧村レベル等での政府統計のミクロ統計分析、特定地域の実態分析より、森林所有者の全体像、個人所有者の世帯特性などを明らかにし、所有者や境界が不明な森林に関わる政策課題を提示する。
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研究実績の概要 |
本研究は森林所有にかかわるミクロデータの分析を通して、今日の森林所有者及び境界の不明問題の背景を検討することである。本年度に実施した研究は、使用したミクロデータにより、以下の通り3つに分けることができる。第一に、住宅・土地統計調査を用いた森林所有者数の把握である。住宅・土地統計調査は住宅に関する統計調査として始まったが、後に土地統計が加わり、その土地調査に山林が含まれている。2018年調査について公表値による分析を進めた。2013年調査については、個票による組替集計を行った。2018年調査結果と2013年調査結果を比較したところ、山林を所有している世帯数が5年間で15.8%減少していることが分かった。また、山林を所有している世帯の主たる家計支持者の年齢構成を分析したところ、65歳以上の割合が2018年には61.6%に達していることが分かった。第二に、森林組合一斉調査に含まれる生産森林組合調査票の個票分析を進めた。生産森林組合の多くは入会林野整備の受け皿として設立されたもので、整備前の入会権者が組合員となっている。2011年調査の個票の組替集計を通じて、森林施業の実施状況に関する分析を進めた。その結果、何らかの施業または販売を実施した生産森林組合の比率は、面積区分が小さいほど低い傾向にあり、経営面積が20ha未満では13.3%であることが分かった。また、現行の調査票では、経営方法別面積と林種別面積を別々に調査しているため、森林面積に関する調査項目とその他の調査項目との関係の分析には限界があることが分かった。第三に、滋賀県などの森林簿を用いて、森林簿による所有者把握の課題を検討した。森林簿に含まれている所有者に関するコードを分析した結果、コードは府県により異なること、所有と保有が混在していること、所有名義を中心に区分しているため入会林野の取扱いが難しいことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一部の研究について次年度に繰り越して実施した結果、概ね計画通り研究を進めることが出来たと考える。ミクロデータ分析を行うにあたり、使用するデータを適切に管理することが必要となる。分析に利用する個票の整理等の準備作業は、概ね計画通りに進んでいる。分析については、以下の通りである。第一に、住宅・土地統計調査については、公表値の分析を行い、2018年調査の位置づけが明確になり、2018年調査の個票分析につなげることができたと考える。第二に、森林組合一斉調査については生産森林組合分について原著論文を作成することができた。第三に、森林簿については、現行の仕組みが都道府県により異なっていることが判明した。所有コードそのものが府県ごとに別々となっていることから、複数の府県をまとめた分析、例えば近畿地域の分析は困難であることが分かった。また、所有コードのなかには実際に使われていないと思われるものも見られた。森林簿に関する研究でも原著論文の作成まで実施することができた。以上の通り、森林所有に関連するミクロデータの分析については、概ね順調に研究を進めることができた。なお、データ分析を補足するために実態調査も必要であるが、こちらはやや遅れ気味である。しかしながら、本研究の中心はあくまでもミクロデータの分析であり、ミクロデータの分析が概ね順調に進んでいることから、概ね順調という総合評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、これまで扱ってきた住宅・土地統計調査、森林組合一斉調査、森林簿、農林業センサスといった森林の所有に関連するミクロデータの分析を進め、分析結果の学会発表や論文作成を行う。住宅・土地統計調査は2018年調査にあたり調査票の様式変更が行われたため、2013年調査結果と2018年調査結果の単純比較が困難となった。そのため、まず2013年までの旧調査票による分析結果をまとめた上で、2018年の新調査票による分析を実施することとする。2018年開始の新調査票による本格的な分析は新調査票による第2回調査となる2023年調査の公表値を待つ必要があると考えられ、2018年の分析結果は参考数値と位置付けるものとする。森林組合一斉調査に含まれる生産森林組合調査票については、最新分の個票についての追加入手を検討し、より新しい時点での分析を目指す。欠損値が多いデータで、調査票回収率が7割台のため限界はあるものの、これまでの単年度データの分析に加え、異時点間の比較や連続する複数年次のデータ分析も課題である。農林業センサスについては、林家以外の事業体(経営体)の分析を少なくとも一つは実施したい。法人による森林取得・森林経営に、近年、変化が見られるように思われる。本科研で森林所有者とは基本的に林家を考えているが、本科研終了後のミクロデータ利用に関する研究展開を考えると、法人による森林経営についてのミクロデータ分析を少しだけでも実施しておきたいと考えている。
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