研究課題/領域番号 |
20H03102
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41030:地域環境工学および農村計画学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
小林 範之 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (00314972)
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研究分担者 |
泉 智揮 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (40574372)
木全 卓 大阪公立大学, 大学院農学研究科, 准教授 (60254439)
武山 絵美 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (90363259)
倉澤 智樹 愛媛大学, 農学研究科, 助教 (90961201)
熊野 直子 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (70711638)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | ため池群 / 最適化 / 利水機能 / 防災機能 / 水利ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
ため池の最も本質的な役割は農業用水の確保であるが,農地の減少に伴いこの半世紀の間に約8万箇所のため池が消滅し,「利水機能」を発揮する場が減少している.また,近年の地震や豪雨によりため池が決壊しており,「防災機能」が果たせなかった事例も出てきている.一方,ため池単体での整備には限界があり,農林水産省の「ため池群を活用した防災・減災対策の手引き」では,「群」としての整備が推奨されてきている.本研究では,ため池の多面的機能の中の「利水機能」と「防災機能」を適切に発揮させるため,受益環境の変化と土砂災害を考慮した「ため池群と用排水路網を含む水利ネットワークの再編整備」を最適化するシステムの開発を行う.
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研究実績の概要 |
本研究は,ため池の多面的機能の中の「利水機能」と「防災機能」を適切に発揮させるため,受益環境の変化と集水域の土砂災害の危険度および費用便益を考慮した「ため池群と用排水路網を含む水利ネットワーク」最適化システムの開発を主目的としている.また,頻発する自然災害やため池の老朽化と管理者不足が問題となる近年,「ため池群と用排水路網を含む水利ネットワーク」最適化システムの確立は喫緊に要請されている社会的課題であり,本研究はその社会的要求に応えようとするものである.本研究を完成させ,全国のため池の維持管理の足掛かりとなることも目的である. 本研究は,STEP1 ため池諸元の現地調査と地形および水利慣行・土地利用調査,STEP2 集水域と表層および深層崩壊の発生する谷部の抽出,STEP3 水利ネットワークの設定,STEP4 土石流を含む洪水流出モデルの作成,STEP5 水利ネットワーク再編整備の評価指標および最適化パラメータの設定,STEP6「ため池群と用排水路網を含む水利ネットワーク再編整備」最適化システムの開発の6つのステップで進められるが,本年度は昨年度からのSTEP1, 2,3および新たに開始したSTEP4を実施した.STEP2については 0次谷の危険性評価と抽出法について研究を進め,STEP3についてはため池の取水源と配水先を指標に,ため池群水利ネットワーク内での機能に応じて各ため池を6 類型に分類し,各類型の立地特性および管理上の課題を明らかにし,STEP4については精度良いH-V曲線を作成するための水上ドローンの適用性について考察した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
STEP2 集水域と表層および深層崩壊の発生する谷部の抽出について:,土砂流出機能を考慮した「ため池群と用排水路網を含む水利ネットワーク再編整備」の最適化を行うためには,崩壊発生危険場所とそこから発生する土砂の量を予測しなければならない.斜面崩壊は,勾配が急なほど斜面が不安定であり,降雨が集まりやすいところで発生しやすい.本年度は,0次谷の危険性評価と抽出法について研究を進めた. STEP3 水利ネットワークの設定について:大日川ダム(兵庫県南あわじ市)下流域のため池群を対象に,各ため池の取水源と配水先を指標に,ため池群水利ネットワーク内での機能に応じて各ため池を6 類型に分類し,各類型の立地特性および管理上の課題を明らかにした. STEP4 土石流を含む洪水流出モデルの作成について:精度良いH-V曲線を作成するために,簡便に貯水位の湖底地形を取得する技術として,ソナーマッピング機器を搭載した水上ドローンの適用性について考察した. 以上の内容は,ほぼ当初の計画通りであり,「おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度から開始したSTEP4の「土石流を含む洪水流出モデルの作成」を完成させる.さらに,STEP5の「水利ネットワーク再編整備の評価指標および最適化パラメータの設定」を実施し,最終目標であるSTEP6の「ため池群と用排水路網を含む水利ネットワーク再編整備最適化システムの開発」に取り組む. STEP5の内容は,ため池群と用排水路網を含む水利ネットワークにおける評価指標は,利水容量の確保,下流域に対する洪水緩和および土砂流下防止,ネットワーク内用排水路の溢水防止,ため池決壊の2次災害防止,さらに費用便益である.また,最適化パラメータには,水利ネットワーク構造,ため池の廃棄,治水ため池の設置,洪水吐の拡幅,ネットワーク水路の新設・拡幅,堤体の補強・嵩上げ等を考えている. STEP6は,STEP5で設定した「ため池群と用排水路を含む水利ネットワーク」の評価指標を満足する最適なパラメータの組み合わせを求める.本研究での最適化手法には決定論的動的計画法と深層強化学習を用いることとする. 決定論的動的計画法と深層強化学習のプログラムの完成後,QGISに組み込み,システム化する.
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