研究課題/領域番号 |
20H03129
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松山 秀一 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (50455317)
|
研究分担者 |
木村 康二 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (50355070)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
|
キーワード | メチルグリオキサール / 牛 / 子宮 / 卵管 / 低受胎 |
研究開始時の研究の概要 |
分娩後の乳牛では、泌乳にともなう負のエネルギーバランスを補うように設計された穀物主体の飼料が給与されているが、受胎率は低下の一途を辿っている。本研究では、高穀物含量の飼料によって産生されるメチルグリオキサールが受胎率低下の一因となっていることを検証する。ウシ生体を用いて、血中メチルグリオキサール濃度の上昇が受胎性に及ぼす影響を明らかにし、次いで、ウシ子宮内膜細胞、卵管細胞、卵子および胚を用いて、メチルグリオキサールが低受胎を引き起こすメカニズムを解明する。
|
研究実績の概要 |
本研究では、高穀物含量の飼料によって産生されるメチルグリオキサール(MGO)が乳牛における受胎率低下の一因となっていることを検証する。本年度は、ウシ子宮内膜培養細胞へのMGO添加がDNA損傷を誘発するか、炎症に関わるNFkBやIL-8の発現を亢進するかについて検討した。また、ウシ静脈内へのMGO投与が子宮内膜における細胞老化を誘導するかについても検討した。ウシ子宮内膜上皮細胞および間質細胞の培養液中にMGOを0、0.1、1 mMとなるように添加し12時間培養した後、DNA損傷マーカーであるγH2AXタンパクと炎症に関連するNFkB p65タンパクの発現量、IL-8分泌量を測定した。また、ウシ静脈内にMGO(5 mmol/h, 2 h/d)を9日間投与し、子宮内膜組織のSA β-gal陽性細胞数、老化細胞のマーカー遺伝子(p21, p53, p16)およびミトコンドリアの融合や分裂に関わる遺伝子(TFAM, FIS1, MFN1, NRF1)のmRNA発現を測定した。γH2AXタンパク発現量はMGO 1 mM処置区において対照区およびMGO 0.1 mM処置区と比較して有意に増加したことから、ウシ子宮内膜間質細胞においてMGOがDNA損傷を引き起こすことが示された。ウシ子宮内膜上皮細胞および間質細胞におけるNFkB p65タンパク発現量、IL-8分泌量は各処置区間で有意差は認められなかったことから、MGO添加後12時間では炎症反応は惹起されないことが示された。また、子宮内膜組織におけるSA β-gal陽性細胞割合、p21、p53、p16 mRNAおよびTFAM, FIS1, MFN1, NRF1 mRNA発現はMGO投与による変化は見られなかった。これらの結果から、MGOの静脈内投与は投与期間9日間という非常に短い期間であったため細胞老化が誘導されなかった可能性が考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は、炎症性サイトカインが胚発育に及ぼす時期と影響を検証する実験が一部未実施となっているものの、MGOの静脈中への長期投与が子宮内膜に及ぼす影響を検討する実験やMGOが子宮内膜細胞のDNA損傷および炎症反応を惹起するかどうかを検討する実験については当初の予定どおり実施できており、おおむね順調に研究を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、ウシ子宮内膜培養細胞へのMGO添加が炎症に関わるNFkBやIL-8の発現を亢進するかについて、MGO添加からNFkB p65タンパクの発現量およびIL-8分泌量の測定までの時間条件を変更して引き続き検討を進める。また、体外培養液中へのMGO添加により胚発生率が低下する傾向が見られたことから、令和5年度はMGOが胚発育に及ぼす時期を検証するとともに、老化細胞が分泌する炎症性サイトカインが胚発育に及ぼす時期と影響についても検討を行う。
|