研究課題/領域番号 |
20H03161
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山内 啓太郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (70272440)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2020年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
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キーワード | 筋再生 / 細胞老化 / 筋ジストロフィー / 筋前駆細胞 / 間葉系前駆細胞 / ラット / 免疫回避 / 炎症 / 舌 / 筋衛星細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
炎症性筋疾患であるヒトデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の病態を反映するDMDラット骨格筋で、細胞老化因子p16の発現を伴う間葉系前駆細胞の早期細胞老化が生じており、これが筋再生を抑制する可能性を示した。老化間葉系前駆細胞は病態の進行とともに増加していたことから、免疫抑制性環境形成により老化間葉系前駆細胞が排除されず蓄積することが病態進行に関わるという着想に至った。本研究では、間葉系前駆細胞の老化がDMDの病態進行に関わるという新たな機序の存在を実証し、さらに、老化間葉系前駆細胞が排除されずに蓄積する仕組みとして、がん細胞にみられるような免疫回避機構が存在するという仮説を検証する。
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研究成果の概要 |
筋ジストロフィーは進行性の筋力低下を伴う疾患で、特にデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は重篤かつ致死性でありその治療法の開発が望まれている。DMDモデルのmdxマウスは軽症であるが、我々はヒトDMDの症状を忠実に再現するDMDラットを開発し、DMDラット骨格筋では細胞老化因子p16が発現し、老化細胞が病態進行に関与する可能性を示した。p16欠損による老化細胞出現阻止や老化細胞除去薬ABT263の投与により、DMDラットの筋力や体重減少が改善し、線維化や脂肪化が減少した。さらに、DMDラット舌筋はジストロフィン欠損に対する抵抗性を示し、筋線維の壊死や再生がほとんどみられないことが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
難治性の遺伝性疾患であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療法としてはこれまで遺伝子治療、細胞移植治療の開発に主眼が置かれてきた。本研究成果により、これらに加えて老化細胞を標的とした新たな治療法開発の蓋然性が提示された。また、老化細胞を標的とした治療法開発はDMDにとどまらず、他の炎症性疾患へも敷衍できる可能性を秘めている。
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