研究課題/領域番号 |
20H03166
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
昆 俊亮 東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 講師 (70506641)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
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キーワード | 細胞競合 / 多段階発がん / NF-κB / MMP21 / 腸管幹細胞 / 細胞競合マウスモデル / びまん性発がん / 腸管上皮細胞 / びまん性浸潤 / MMP |
研究開始時の研究の概要 |
我々の研究グループの最近の研究成果より、腸管分化細胞層にがん変異を有した細胞が少数産生したとき、細胞競合により変異細胞は管腔へと排除されることが分かってきた。さらには、遺伝子変異の蓄積を負荷した場合や腸管幹細胞に同様のがん変異を誘導した際には細胞競合による排除率が著しく低下することを最近見出しつつある。そこで本研究課題では、これらの素因により細胞競合の機能が変容する分子論的メカニズムを明らかにし、細胞競合と発がんとの関連を個体レベルで明らかにすることを目的とする。
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研究成果の概要 |
正常上皮細胞層に出現したRasV12変異細胞は、隣接する正常上皮細胞との細胞競合によって、管腔へと押し出されるように排除される。本研究では、ヒト家族性大腸がんで好発するAPC→Rasの変異蓄積を再現した結果、細胞競合が脱制御し、変異細胞が基底膜へとびまん性に浸潤することを見出した。その分子機序として、細胞非自律的にNF-κB→MMP21経路が活性化することが変異細胞の基底膜浸潤に重要であることを明らかにした。これらの結果より、遺伝子変異が蓄積したがん変異細胞は細胞競合を利用することにより、自己の基底膜浸潤を促進することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
細胞競合は、正常上皮細胞が担う抗腫瘍機能として注目を浴びている。しかしながら、個体が実際に発がんに至る過程において、細胞競合の機能がどのように変容するかはよく分かっていない。本研究では、ヒト家族性大腸がんで好発するAPC→Rasの変異蓄積をマウスにて再現したところ、細胞競合によって本来管腔へと排除されるべき変異細胞の一部が、基底膜側へとびまん性に浸潤することを見出し、その分子論的メカニズムの一端を明らかにした。この研究成果より、複数の遺伝子変異が蓄積した変異細胞は細胞競合現象を利用することにより基底膜浸潤すること、またこのプロセスに関わる分子が新たながん治療標的となり得ることが期待される。
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