研究課題
基盤研究(B)
真核生物のmRNA前駆体の選択的プロセシングはタンパク質の多様性を創出する重要な遺伝子発現機構であり、多細胞生物の多くの遺伝子で組織特異的な制御が見られる。本研究では、線虫の生体で組織特異的にRNAを濃縮する手法を開発し、組織特異的選択的プロセシングの概要を明らかにする。さらに、組織特異的制御因子の変異体を用いて同様の解析を行い、選択的mRNAプロセシングの制御機構を体系的に理解することを目指す。
本研究では、線虫の生体で組織特異的にRNAを代謝標識して濃縮する手法を開発し、主要組織におけるmRNAのRNA-seq解析を行って、線虫における組織特異的選択的プロセシングの概要を明らかにし、転写と共役したmRNAプロセシングの進行過程と組織特異的選択的プロセシングパターンとの関連性を明らかにして、この生物種における選択的mRNAプロセシングの制御機構を体系的に理解することを目指していた。そのために、線虫の個体レベルでの新生mRNAを4-チオウリジンまたは4-チオウラシルで代謝標識する手法の確立を行った。そして、mRNAの品質管理機構であるnonsense-mediated mRNA decay (NMD)が不全であるsmg-2変異体を用いて新生RNAを標識・精製し、長リード次世代シーケンサーであるNanopore MinIONを用いて全長RNA配列を直接シーケンシング解析し、野生型のmRNAとの比較を行った結果、正常ならNMDで分解されてしまうmRNAスプライスバリアントを発現する遺伝子259個を同定し、EMBO Journal誌に発表した。一方、ウラシルのサルベージ経路の酵素の変異体を入手あるいはゲノム編集で作製してスクリーニングし、そのうちの1つをコードする遺伝子の変異体では4-TUがほとんどRNAに取り込まれないことを見出しており、この変異体の特定の組織にcDNAを発現させることで、組織特異的に発現するレスキュー株を作製した。4-TUによる代謝標識と精製を行った結果、その組織特異的にmRNAが濃縮できることを確認し、線虫でTU-taggingができるとのコンセプトの証明をすることができた。さらに、組織特異的RNAの解析を進めている。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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