研究課題/領域番号 |
20H03186
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高橋 達郎 九州大学, 理学研究院, 教授 (50452420)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | ミスマッチ修復 / ツメガエル卵抽出液 / 相同組換え / ゲノム安定性 / DNA二重鎖切断損傷修復 / 相同性依存的修復 / DNA二重鎖切断損傷 |
研究開始時の研究の概要 |
遺伝情報物質であるDNAは、複製や組換えによって維持、再編、安定継承される。一方、これらの反応の誤りによって、DNA二重鎖の塩基対ミスマッチが生じることがあり、それらは変異や染色体不安定性の原因となる。またDNAはクロマチン構造に巻き取られているため、上記反応は全てクロマチン上で起こる。本研究ではミスマッチ形成に応答し、複製、組換えを正確に達成する反応の分子メカニズムを、特にクロマチン上での機能に焦点をあてて解析する。
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研究実績の概要 |
本研究では、ミスマッチ修復経路によるDNA合成エラー修復反応と、類似配列間の相同組換えの抑制反応それぞれの分子メカニズム、および二つの経路の分岐メカニズムを理解するため、ツメガエル卵抽出液を用いた試験管内再現系、および精製タンパク質による試験管内再構成系の二つの手法で研究を行っている。本年度は、ミスマッチ修復因子に依存したヌクレオソームリモデリングについて、精製タンパク質による試験管内再構成を進め、リモデリングのメカニズムをおおよそ解明した。具体的には、リモデリング因子とミスマッチセンサーがミスマッチ塩基依存的に複合体を形成し、近傍のヌクレオソームをミスマッチから遠ざける方向に移動させていた。さらに、質量分析を用いて相同組換えに関わるヘリカーゼの相互作用因子を同定した。同定した因子は、ミスマッチセンサーを含む既知因子に加えて、機能未解明の未知因子を含んでおり、現在この未知因子の機能解析を進めている(熊本大学発生医学研究所の石黒啓一郎博士との共同研究)。この相互作用解析から、類似配列間の相同組換え制御を含む、新たな制御メカニズムがわかりつつある。さらに、先年度から引き続き、類似配列間相同組換えの部分反応を精製タンパク質を用いて再構成し、そのメカニズム解析を進めている。また、ツメガエル卵抽出液を用いた類似配列間相同組換えの試験管内再現と解析については、論文としてとりまとめの段階にある。加えて、ミスマッチ修復経路によるDNA合成エラー修復反応についても、次世代シーケンサーを用いたニック部位のマッピングから、鎖削り込みの方向性を決める反応の、具体的なしくみが分かってきつつある(がん研究所の大学保一博士との共同研究)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
精製タンパク質による試験管内再構成は着実に進展しており、分子メカニズムの解析にとりかかっている。さらに、本年度は合成エラー修復、組換えエラー抑制の両方について、新規因子の同定を含む予想外の進展があり、それぞれ鎖削り込みの制御機構、組換えに伴うDNA合成の制御機構について理解が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き、精製タンパク質による試験管内再構成を中心に研究を進める。また、これまでの成果については順次論文の取りまとめを進めている。さらに、先年度大きく進展した鎖削り込みの制御機構、組換えに伴うDNA合成の制御機構について、主にツメガエル卵抽出液を用い、分子メカニズムの理解に向けて研究を進める予定である。
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