研究課題/領域番号 |
20H03195
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山下 敦子 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (10321738)
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研究分担者 |
日下部 裕子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, グループ長補佐 (90353937)
清中 茂樹 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (90422980)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2020年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | 味覚受容体 / 受容体 / 味覚 / 構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
味覚受容体の細胞外領域は、外界からの多様な化学情報を認識し、その情報を変換して生体内に伝える主な役割を担う。各種リガンドは、細胞外領域が取りうる多様なコンフォメーション間の遷移を引き起こすことで、シグナル伝達の程度を決定すると考えられる。一方、これまで各コンフォメーションの高分解能構造情報と構造動態・シグナル伝達状態との紐付けが明確にできておらず、情報変換メカニズムの理解が途上にあった。そこで、受容体が取るコンフォメーションの特定の状態をそれぞれ戦略的に捕捉し、その高分解能構造とシグナル伝達状態を明らかにする「逆構造生物学」的アプローチから、受容体による化学情報変換メカニズムの解明を目指す。
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研究成果の概要 |
甘味受容体・うま味受容体T1rについて、現在唯一構造が報告されているメダカT1r2a/T1r3リガンド結合領域(LBD)を用いた構造機能解析を実施した結果、LBDに結合しアゴニスト様の構造変化を引き起こすものの顕著な受容体応答を引き起こさないリガンドを見出し、LBDを「活性化状態」と考えられているコンフォメーションに構造変化させることができたとしても、必ずしも受容体活性化につながらない例があることを明らかにした。また、これまでT1rへの作用が知られていなかった塩化物イオンが、T1rに結合して、その他の味物質と同様の構造変化をLBDに引き起こし、T1rを介して味覚で感知されることを解明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
甘味受容体・うま味受容体T1rについては、これまでに得られている構造情報が極めて限定的であった。本研究課題で、受容体への作用の異なるリガンドの結合状態構造を明らかにしたことで、今後T1r活性化機構を明らかにしていく上での基盤情報を得た。さらに、本研究課題において、塩化物イオンのT1rへの作用を新たに解明した。この作用部位は、解析に用いたメダカ受容体のみならず、ヒトも含めた他のT1rにも共通して保存されていると考えられることから、食品産業に重要な甘味・うま味受容の理解に新たな知見を提供したことに加え、適量の摂取が健康維持に重要な食塩の味覚感知に対しても、新たな観点を提供した。
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