研究課題/領域番号 |
20H03209
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
申 惠媛 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (10345598)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2021年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
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キーワード | 生体膜 / 脂質二重層 / P4-ATPase / フリッパーゼ / メンブレントラフィック / 細胞極性 |
研究開始時の研究の概要 |
脂質二重層間の膜脂質の組成変化は、多様な細胞機能において重要な役割を果たしており、量的変化は活発な膜変形を可能にし、質的変化は細胞機能のシグナルとなる。P4-ATPase(フリッパーゼ)は、生体膜の二重層間の脂質組成を変化させる非常にユニークな酵素であり、生体膜非対称性の調節およびPSの露出に関与していることが示唆されている。本研究では、P4-ATPaseの活性制御の解明を端緒とし、PSの露出を含む膜脂質の動的変化がどのようなメカニズムによるものか包括的に理解し、膜変形やシグナル伝達を必要とする細胞運動や神経内分泌細胞の分泌顆粒放出に具体的にどのように結びつくのかを究明していく。
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研究成果の概要 |
ゴルジ体やエンドソームに局在するP4-ATPaseのATP9AとATP9Bに着目し、タンパク質分泌経路おけるこれらのフリッパーゼの機能解析を行った。ATP9AとATP9BがVSVGタンパク質の細胞膜への輸送経路にリダンダントに機能することが明らかになった。さらにVSVGの輸送経路にはATP9A/Bのフリップ活性が必要であることを明らかにした。興味深いことに、ATP9AとATP9Bがホモおよびヘテロの複合体を形成していることを発見した。また、その複合体形成を介してATP9BがATP9Aの局在に寄与することを示唆した。ATP9A/Bのフリップ活性による小胞形成のメカニズムは今後の課題である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
酵母のすべてのP4-ATPaseがメンブレントラフィックに関与することが報告されているが、ヒトの14種類のP4-ATPaseとメンブレントラフィックの関連はよくわかっていなかった。本研究では、特定のP4-ATPaseのフリップ活性がタンパク質の分泌経路に機能することを明らかにし、その分子メカニズムの一部を示唆示唆した。また、生体膜の生合成や伸長が必要なオートファゴソーム形成においても特定のP4-ATPaseのフリップ活性が必要であることを示した。本研究により、生体膜の非対称性の調節・維持のみならず様々な膜ダイナミックスが必要な細胞機能において脂質のフリップ活性が寄与することが明らかになった。
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