研究課題/領域番号 |
20H03220
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
本間 道夫 名古屋大学, 理学研究科, 研究員 (50209342)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | エネルギー変換 / 分子構築 / タンパク質構造 / 膜蛋白質 / べん毛 / 生体エネルギー変換 / 回転モーター / イオン駆動力 / モーター / 膜タンパク質 / 運動 |
研究開始時の研究の概要 |
細菌べん毛モーター回転力発生機構を解明するために、以下の5つの観点から研究を遂行する。1)エネルギー変換ユニットPomAPomBの構造をX線結晶構造解析、クライオ電子顕微鏡単粒子解析、NMR解析によって明らかにする:2)固定子イオン透過部位のダイナミックな構造を全反射型赤外分光法によって明らかにする:3)生化学的手法によるPomA-FliG間の相互作用の検討をする:4)膜モーター回転子タンパク質の構造解析を固定子と同様に行う:5)試験管内完全モーター再構成系の構築を試みる。
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研究実績の概要 |
べん毛回転は、細胞膜上の固定子中をイオンが透過し、固定子-回転子間の相互作用が変化し、回転力が生じる。この回転モデルに対して、回転子タンパク質FliGと固定子タンパク質PomA間の相互作用を同定して、固定子と回転子がギアのように噛むような相互作用によって回転力をつくるモデルを提案し、その検証実験を継続した。超好熱細菌AquifexのMotAではナノディスクへの再構成は成功し、構造解析のリファインメントを行い、論文にした。また、我々の研究で主に使っている海洋性ビブリオ菌のPomAPomBに関して、クライオ電子顕微鏡による構造解析を前年度に引き続き行い、原子レベルの構造構築とそのリファインメントが終わり、ナトリウム結合部位について詳細に解析を行い、論文を作成中である。べん毛モーターの試験管内で、機能的なモーターの再構成形を構築するために必要なビブリオ菌由来のMSリングをFliFとFliGを融合したタンパク質を用いて、効率よく精製することに成功して、その結果を論文に投稿中である。FliFにGFPを結合して、MSリング構造を観察できることも示すことができた。このMSリングを膜に埋め込む実験を開始した。また、実際に固定子が回転しているかを検証する為に、GFPタンパク質をPomBに融合し、精製を行い、前年度AFM(原子間力顕微鏡)による観察を行ったが、構造を確認することはできなかった。本年度は、Hisタグを利用して、金粒子に結合することで、観察を行い、固定子の構造を電子顕微鏡とAFMで、固定子の構造を観察することはできるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一昨年に定年退職を迎えたが、研究員として、雑用がなくなり、大学で以前より研究に従事する時間が増え、研究をスムーズに進めることが可能となり、概ね順調に進展している。研究代表者の名前の入った英文の論文を昨年9報出すことができたことも、順調な進展を示している。特に、申請者が1997年に発見し、研究を続けているべん毛モーター固定子のクライオ電子顕微鏡による構造解析が完成したことは、本申請による研究推進を順調に進めるための大きな足掛かりとなる。また、現役時代に、学生に提案しても、やってもらえなかったGFPタンパク質をPomBに融合した固定子の精製を行い、効率よく精製できることを確認し、今後の実験を順調に進めるための基盤的な結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度、べん毛固定子のクライオ電子顕微鏡での構造解析を行い、申請者が長年にわたって研究を進めているビブリオ菌PomAPomBの構造を明らかにすることができた。種々の変異体固定子を精製して、PomAPomB複合体の構造解析を行う予定である。PomBのペリプラズム領域の構造は、昨年度もその構造を検出しようと試みたが、構造を検出することができなかった。この問題を解決するために、PomBと相互作用して、固定子を安定化すると考えらているFliLとともに精製して構造を調べる。PomAPomB複合体は、膜に挿入されだだけでは、イオン透過活性はない。PomBのプラグ領域と呼ばれる部分がPomAのペリプラズム領域のループ領域と相互作用することで、回転が阻害されることで、無駄なイオンの流れを抑えているというモデルを一昨年度提案した。この活性化機構解明を昨年度に引き続き行う。ビブリオ菌由来のMSリングをFliFとFliGを融合したタンパク質を用いて、効率よく精製することに、昨年度、成功した。大量精製したMSリングとモーターの完全再構成を将来の目標としてことからFliG/FliM/FliNからなるCリングの大腸菌内において大量発現する系の構築、さらに、PomAPomB複合体をプロテアリポソームに再構成する実験を継続して行う。十分な量のリング構造が得られていることから、クライオ電子顕微鏡を用いた構造の解析も行っていく。
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