研究課題/領域番号 |
20H03221
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今村 博臣 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (20422545)
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研究分担者 |
今田 勝巳 大阪大学, 理学研究科, 教授 (40346143)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2021年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2020年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | 蛍光タンパク質 / 試験管内分子進化 / X線結晶構造解析 / イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
個体・組織レベルでの生命現象を理解するために、生体深部のイメージングに適した赤色以上の長波長蛍光を発する、明るく安定な蛍光タンパク質の開発が強く求められている。しかし、既存の赤色蛍光タンパク質(RFP)はお互いのアミノ酸配列がよく似ているため、新しい長波長蛍光タンパク質を開発するための自由度は限られている。そこで、本研究では既存のRFPとはアミノ酸配列の類似性が低い緑色蛍光タンパク質(GFP)のアミノ酸配列を改変することにより新しいRFPを創り出す。並行して、RFPにおいて赤色の蛍光団が形成するために本質的に重要なアミノ酸残基の立体配置についての知見を得る。
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研究実績の概要 |
前年度に開発したGFP由来RFPであるAzamiRed1.0は4量体であったため、タンパク質のイメージング用タグとしては不適当であると考えられた。そこで、AzamiRed1.0の4量体界面に変異を導入することで単量体化を試みたところ、単量体になった一方で蛍光が完全に失われてしまった。そこでこの単量体化変異体にランダム変異や部位特異的飽和変異導入を繰り返すことで赤色蛍光を回復させた。こうして得られた単量体化RFPであるmARs1を様々なタンパク質と融合させて動物細胞で発現させたところ、想定された細胞内局在を示した。このことから、mARs1はイメージングタグとして十分利用できる性能を有すると考えられた。 次に、AzamiRed1.0に導入された29アミノ酸の変異のうち、RFP化に必須なアミノ酸を同定することを試みた。29個の変異を一つ一つもとのアミノ酸に戻した結果、6アミノ酸変異だけ持つタンパク質でもGFP型蛍光団に混じり、僅かにRFP型蛍光団を持つことが示された。 AzamiGreenからAzamiRedへの変換で導入した29個のアミノ酸置換によって他のGFPもRFPに変えることができるかを検証した。その結果、AzamiGreenと82%の相同性を有するサンゴ由来GFPであるMcavGFPが変異導入によってRFPに変わることが見いだされた。このことは、上記の29アミノ酸変異はAzamiGreenだけに見られる特殊な変異ではなく、比較的配列の近いGFPをRFPに変えることができる普遍的な変異であることが示唆された。 最後に、AzamiGreenおよびAzamiRed1.0の変異体についてX線結晶構造解析を進め、AzamiGreenについては高分解能でのモデルの構築に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通りに研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
① GFP由来RFPのX線結晶構造解析:これまでに開発したGFP由来RFPおよびその変異体のX線結晶構造解析を進め、RFP化に重要な構造変化を明らかにする。 ② 異なるGFPのRFP化:これまでに得られた知見をもとに、他の生物種由来のGFPをRFP化できるかを検証する。 ③ GFP由来RFPを用いた蛍光ツールの開発:これまでに開発したGFP由来RFPを用いて、新たな蛍光バイオセンサーを開発する。
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