研究課題/領域番号 |
20H03252
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
末次 志郎 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (70345031)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2020年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | BARドメイン / 相分離 / 生体膜 / 細胞構造構築 / アクチン / ファゴサイトーシス |
研究開始時の研究の概要 |
BARドメインは、タンパク質の立体構造に応じた脂質膜の曲率を生成するタンパク質ドメインとして普遍的かつ重要である。脂質膜の曲率を形成するためには、BARドメインが脂質膜上で、多量体を形成することが必須であると考えられている。しかし、BARドメインを有するタンパク質(BARタンパク質)の多量体形成がどのように制御されていか、不明のままである。本研究では、多量体形成の素過程を試験管内再構成実験により明らかにし、そこで明らかにした機構が細胞内で成立しているかどうか調べる。
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研究成果の概要 |
BARドメインは、タンパク質の立体構造に応じた脂質膜の曲率を生成するタンパク質ドメインとして普遍的かつ重要である。脂質膜の曲率を形成するためには、BARドメインが脂質膜上で、多量体を形成することが必須であると考えられている。本研究では、多量体形成の時間発展を、試験管内FRETを用いた多量体形成の経時観察を中心として明らかにし、その集合が数秒で生じることがわかった。多量体形成を促進する因子として、BARタンパク質が併せ持つSH3ドメインに注目し、多数のSH3ドメインが同時に結合できるポリプロリン配列を持つWASPファミリータンパク質などが、液液相分離様の機構で多量体形成を誘導することを発見した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、液液相分離(LLPS)様の多数の結合によるタンパク質の凝集様の集合が、生体膜の上でのBARドメインの秩序だった集合にも関与していることが発見された。また、逆に、BARドメインの集合はLLPS様であることから、さらなるタンパク質の集積を促し、細胞の応答を支配する可能性がひらけた。本研究成果は、BARドメインの集合機構を具体的に明らかにした初めての知見であり、免疫応答機構のみならず、細胞外小胞形成などの細胞の形態変化を伴う生命現象の根源的な理解を深めた。また、詳細な分子機構を明らかにすることで、将来の免疫細胞などの機能を操作する新たな医療の道を開く可能性がある。
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