研究課題/領域番号 |
20H03254
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大野 みずき 九州大学, 医学研究院, 助教 (70380524)
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研究分担者 |
日高 京子 北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (00216681)
手島 康介 九州大学, 理学研究院, 教授 (20447593)
續 輝久 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 訪問研究員 (40155429)
中津 可道 九州大学, 医学研究院, 准教授 (00207820)
作見 邦彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (50211933)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | 酸化DNA損傷 / DNA修復 / 卵子 / 精子DNA損傷 / DNA損傷 / 配偶子ゲノム / 生殖細胞ゲノム変異 / 卵子DNA修復 / 次世代影響 / 突然変異 / 遺伝情報維持 / 生殖細胞ゲノム / ゲノム維持機構 / 継世代影響 / ゲノム維持 |
研究開始時の研究の概要 |
老化や喫煙、放射線被ばくなどにより精子DNAには様々な「傷」が発生し、不妊や流産の原因となっている。本来健康な卵子には精子が持ち込んだDNA損傷を修復する能力があるが、その分子機構の詳細は明らかになっていない。この研究ではマウスを用いて「精子DNAのどのような傷が、卵子の持つどのような機構で、受精後にどのように修復されるのか」を実験的に明らかにする。本研究の成果は現在の生殖医療での種々の問題、例えば、世界的な少子化問題、医療放射線被ばく、宇宙環境での長期滞在での生殖細胞保護などへの解決策を見出すきっかけになることが見込まれるため学術的にも社会的にも意義が大きい。
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研究実績の概要 |
当該年度は前年度に引き続き、DNA損傷を持った精子が受精した際の卵子中のDNA修復機構の重要性を明らかにするためのマウスの交配実験を行った。塩基除去修復、ヌクレオチド除去修復、DNAミスマッチ修復機構に属する遺伝子の改変マウスはC57BL/6Jcマウスにバッククロスしながらヘテロの状態で系統維持を行った。実験に使用する際にそれぞれの系統内のヘテロ欠損マウスの雌雄を交配しホモ欠損マウスを得た。DNA修復遺伝子ノックアウトマウスのホモ欠損メスマウスは、生後8週齢まで通常飼育し、野生型オスマウスと交配し産仔を得た。オスマウスは酸化剤投与群と非投与コントロール群の2分に分け、投与群では生後4週齢より酸化剤である臭素酸カリウムを自由飲水形式で投与し、期間終了後の生後8週齢時点からメスマウスと交配した。非投与群は通常飼育を行い同じ週齢から交配を開始した。それぞれの組み合わせの交配で、出産回数、産仔数と死産仔数、産仔の表現型などを解析した。全ての組み合わせ群の交配で少なくとも2匹のメスから複数産仔が得られ、その仔には顕著な表現型異常は観察されなかった。このことから、これらのDNA修復機構を完全に欠損によってメスの生殖細胞機能は不全になることはなく、少なくとも若い週齢では生殖細胞の成熟、排卵、妊娠、出産が可能であることがわかった。一方で、酸化剤を投与した野生型マウスオスとの交配では、メスの遺伝子型グループ間で平均産仔数や死産仔の割合に差がある傾向が見られたため、さらに個体数を増やして解析を進めた。その結果、塩基除去修復機構に属し酸化DNA損傷を修復するタンパク質をコードする遺伝子が欠損したメスマウスでのみオスマウスへの酸化剤投与による影響が見られた。今後この遺伝子についての解析を進める。さらに、次世代シーケンスによる親子トリオ解析を行いde novo生殖細胞変異の解析も進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの蔓延による影響でマウスの繁殖作業が予定通りに行えず、実験に使用する遺伝子型を持つメスマウスが計画通りに得られなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
マウスの出産状況により対象の遺伝子型マウスの数が当初の実験計画で概算した数に満たない場合には、使用するDNA損傷剤の種類を減らして実験を行うなど柔軟に対応する。次年度は現在進行中の酸化ストレス負荷剤の影響に注目して解析を行う。
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