研究課題
基盤研究(B)
皮質脊髄路は巧緻運動を担い、少なくとも霊長類では最も重要な神経回路であるが、軸索変性症HSPはその回路に異常を来す代表的な疾患である。近年軸索変性症HSPとオルガネラ間コミュニケーション(MCSs)の関連が示唆されているが詳細な機構は不明なため、本研究でその解明を目指す。本研究はわれわれが長年独自に展開してきたプロトルーディン複合体研究に基づいており、MCSs研究との融合により、新たな神経細胞の恒常性維持機構の解明に繋がると期待される。
オルガネラコンタクト(MCS)複合体について、エンドソーム成熟やリポファジーなどの新たな細胞内機能を明らかにした。またその責任タンパク質であるPDZD8の遺伝子欠損マウスを作製し、脳のリピドーム解析によりコレステロールエステルの異常蓄積を見いだし、それが脂質輸送を介するリポファジーの不全に起因することを明らかにした。また行動バッテリー解析により、PDZD8の遺伝子欠損マウスが認知機能や情動に異常を来すことを見いだした。ヒトのPDZD8遺伝子変異は、知的障害などの脳機能障害と関連することが知られているため、PDZD8は脳内脂質のクリアランスにより脳機能に寄与していることが明らかになった。
近年アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患において脳内の脂質異常の関与が示唆されており、PDZD8複合体はそれらの機構解明のカギとなることが期待される。
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