研究課題/領域番号 |
20H03259
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 淑子 京都大学, 理学研究科, 教授 (10183857)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | 初期胚 / 血管モデリング / 血流 / メカノバイオロジー / 卵黄動脈 / 始原生殖細胞 / 血管リモデリング |
研究開始時の研究の概要 |
体の隅々にまで存在する血管網は、酸素や栄養などを運ぶ重要な運搬流路である。一方で初期胚に出現する原始血管網はそれ以外の役割も担うと考えられているが、その実態はよくわかっていない。私達は、初期胚における原始血管網の血流を局所的に操作すると、そこから遠く離れた場所の血管パターンにまで変化が及ぶことを見出し、またこのような連鎖的な血管リモデリングがその後の器官形成にも関わる可能性がみえてきた。そこで本研究では「初期胚の血管ダイナミクスが、その後の器官形成を支える」という着想に基づいて、ミクロからマクロまでを繋ぐ解析法により、血流メカノ刺激の連鎖に連動する器官形成のダイナミクスの基盤を提唱する。
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研究成果の概要 |
体内に張り巡らされる血管網は、酸素や栄養などを運ぶ運搬流路であり、一定のルールに従って形成される。本研究では血管ネットワーク形成について、特に血管リモデリングと血流との相関に焦点をあてて研究を進めた。ニワトリ初期胚では、背側大動脈の血流の一部が体節20番目レベルから胚体外に向かい、その部分で卵黄大動脈が作られる。解析の結果、卵黄大動脈の形成位置が心拍血流開始次期によって規定されることが見出された。血流を局所的に停止させると卵黄大動脈の形成は起こらず、また血流刺激による細胞内シグナリングにはRho活性制御が含まれることなどがみえてきた。本研究による成果はがん生物学にも貢献すると期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
血管バイオロジーの分野において、血管リモデリング機構の理解は非常に遅れている。その理由として、血流刺激を必要としている血管リモデリングをin vitro系で再構築するのが困難であることなどが挙げられる。本研究では、2次平面上で血管形成が進むニワトリ初期胚の利点をいかして、血管リモデリングにおける血流刺激の影響を高解像度で解析できた点が意義深い。血流のタイミングが動脈の位置パターニングを規定するなど、他の解析系では見出せなかった発見を打ち出すことができた。血管系疾患やガン生物学とその治療法開発にむけて、新たな道の開拓につながることが期待される。
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