研究課題
基盤研究(B)
体の隅々にまで存在する血管網は、酸素や栄養などを運ぶ重要な運搬流路である。一方で初期胚に出現する原始血管網はそれ以外の役割も担うと考えられているが、その実態はよくわかっていない。私達は、初期胚における原始血管網の血流を局所的に操作すると、そこから遠く離れた場所の血管パターンにまで変化が及ぶことを見出し、またこのような連鎖的な血管リモデリングがその後の器官形成にも関わる可能性がみえてきた。そこで本研究では「初期胚の血管ダイナミクスが、その後の器官形成を支える」という着想に基づいて、ミクロからマクロまでを繋ぐ解析法により、血流メカノ刺激の連鎖に連動する器官形成のダイナミクスの基盤を提唱する。
脊椎動物の初期発生過程における血管形成とリモデリングのしくみ解明を目的として研究を進めていた。特に初期血管網からのリモデリングに注目し、血流メカノ刺激との関連について:①局所的な血流刺激で制御される血管リモデリングが、②さらに胚のあちこちで連鎖的に血流変化を引き起こして新たなリモデリングを惹起し、③最終的に血管リモデリングに連動して器官形成が制御されるという一連の流れを実証する。用いる実験動物は主にニワトリ胚であり、局所的な血流操作など我々がこれまでに開発してきた独自の手法を用いる。①については、ニワトリの卵黄静脈を解析対象として、そこを流れる血流を局所的に停止されるなどの技術開発をとおして、血流ずり応力によって血管内皮細胞が大きな影響をうけることがわかった。②③に関しては、血流にのった始原生殖細胞が卵黄静脈付近の血管網にトラップされ、その後血管壁をtransmigrateすることで形成中の生殖巣にたどりつくことがわかった。このように、初期胚におこる血管リモデリングがさらに血流のダイナミクスを引き起こし、その結果として生殖系の細胞の挙動が制御されるという一連の流れがみえてきた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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