研究課題/領域番号 |
20H03267
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
|
研究機関 | 大阪大学 (2023) 国立遺伝学研究所 (2020-2022) |
研究代表者 |
加藤 譲 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任研究員(常勤) (60570249)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2020年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 卵子形成 / マウス / 原始卵胞 / RNA制御 / 卵巣 / 卵母細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳動物において卵子は、その有限のリザーバーであり、最も未成熟な卵胞である原始卵胞の卵胞成長により産生される。生殖可能期間において女性が継続的に卵子を産生するためには、原始卵胞を長期に渡り維持しながらも、その一部を逐次的に活性化する必要があるが、その制御機構は未だ多くの謎が秘めている。本研究では、卵母細胞における複数のRNA結合タンパク質の機能解析から、原始卵胞の維持と活性化を司るRNA制御機構の解明を目指す。
|
研究実績の概要 |
哺乳動物において卵子は最も未成熟な卵胞である原始卵胞を供給源として維持しつつ、逐次的にその一部の卵胞成長を活性化することにより産生される。したがって、長期に渡り卵子を産生し続けるためには原始卵胞の維持と活性化が適切に制御されなければならない。しかし、その分子機構に関する知見は未だ乏しい。本研究ではマウスをモデルとして、継続的な卵子形成機構の理解に取り組む。具体的には、原始卵胞における卵母細胞の活性化制御に関わる2つのRNA結合タンパク質(タンパク質A, B)に着目し、RNA制御機構が介する卵母細胞の活性化制御機構の解明を目的とする。 翻訳促進に関わるタンパク質Aの卵母細胞における過剰発現は卵母細胞の活性化を促進する。一方、RNAの分解に関わるタンパク質Bは遺伝子ノックアウトにより卵母細胞の活性化を促進する。すなわちAは卵母細胞活性化の促進に働き、Bは卵母細胞活性化の抑制に働くと考えられる。そこで本研究ではAB両タンパク質に結合するRNA及び相互作用因子の同定から、卵母細胞の活性化制御に関わるRNA制御メカニズムの解明を目指している。 これまでに、質量分析によりAと共沈澱するタンパク質を網羅的に同定した他、Bノックアウトマウスから卵母細胞を単離し、RNA-seqによる遺伝子発現変化を解析してきた。 一方、ヒトの家族性早発卵巣不全患者においてA遺伝子に2ヶ所の点変異を有することが新たに見出された。そこで本年度では同変異を持つマウスラインを作成して不妊症様の表現型を呈するか解析するため、交配実験を行なった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はタンパク質Aに対するRNA免疫沈降を予定していたが、卵巣のサンプリング及び実験条件の検討に時間を要したため、結合するRNAの同定には至らなかった。また、HAタグを有するタンパク質Bを過剰発現するトランスジェニックマウスを作成したが、高発現するラインを得られなかったため、継続してトランスジェニックマウスの作成を行なっている。一方、女性不妊症と遺伝子Aの新たな可能性が見出されるなど、今後の発展に繋がる発見もあったことは大きな進展と考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
RNA制御機構解明に向けたAに結合するRNAの同定及びBと相互作用する因子の同定を目指す。具体的にはAに対するRNA免疫沈降の実施とHAタグ付きBの過剰発現マウスの作成を目指す。その上で、両者に共通する標的RNAの有無を解析し、卵母細胞の活性化とその抑制に働く2つの因子間の機能的相互作用の有無について検討を進める。加えて、点変異を有するAの交配実験の結果をまとめると共に、組織学的解析から卵子形成における異常の有無について検討を進める。
|