研究課題/領域番号 |
20H03277
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 石川県立大学 (2023) 奈良先端科学技術大学院大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
宮島 俊介 石川県立大学, 生物資源環境学部, 講師 (20727169)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | 植物微生物相互作用 / 植物発生学 / 特化二次代謝経路 / 植物病理 / 特化二次代謝 / 根冠 / 形態形成 |
研究開始時の研究の概要 |
植物の根は、外部環境からの生物的および非生物的な刺激に応じて組織形成プログラムを変化させることで、柔軟かつ頑強な成長を実現している。しかし土壌微生物の攻撃といった生物的刺激に応答した根の成長制御機構に関する知見が非常に乏しい。本研究課題では、「根が病害微生物の攻撃を如何に認識し、如何にして抵抗性の発現や成長プログラムの変化を連動させるのか」という学術的な問いの解明に取り組む。本研究課題が生み出す成果は、単に学術的なインパクトに止まらず、農作物の生産性を向上させるために必要な基盤知識を構築するものである。
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研究実績の概要 |
根は土壌微生物の攻撃などの生物的刺激に応答し、特化二次代謝経路の活性化を介した防御応答を駆動するとともに、根系全体の成長ベクトルを転換させる。本研究では、防御応答と成長制御の統御機構の解明を通じ、根の対微生物応答の時空間動態と分子実体を理解する研究に取り組む。 これまでの研究から、根の先端を覆う根冠が、病原性糸状菌に応答し、特化二次代謝産物の合成酵素の発現を活性化することを見出してきた。また、この特価二次代謝経路の活性化に関しては、糸状菌の細胞壁成分であるキチンおよび植物細胞壁の分解産物であるセルビオースの2つの分子パターンを根冠細胞が同時に認識することにより、引き起こされることを見出している。さらには、その過程において、LYK5-CERK1の膜受容体機能が必須であることを発見してきた。 2022年度では、LYK5-CERK1による分子パターン認識から特価二次代謝酵素の発現誘導を担う転写因子群の同定と機能解析を試みた。その結果、シロイヌナズナAP2/ERF遺伝子群の中から、常時もしくは糸状菌接種時に根冠細胞で発現が観察される8遺伝子を同定した。これら遺伝子群に対し、CRISPR/Cas9による多重機能欠損体の作成を行い、この作成した多重変異体は、糸状菌感染実験から、病原性糸状菌に対する抵抗性が低下していることを実証した。 さらに、病原性糸状菌に応答した根の成長変化をもたらす機構を明らかにするため、成長を駆動する根端分裂組織での病原性糸状菌に応答した網羅的転写解析を進めてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度までの研究から、根冠細胞の微生物の認識から特価二次代謝酵素の転写活性化を担う分子の研究から、根冠での特価二次代謝経路の活性化に機能する転写因子群の候補が同定され、根冠細胞が駆動する防御機構の全貌の解明に近づきつつあり、計画最終年度の2023年度には、主要な研究データが得られると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
同定したERF/AP2転写因子の下流をトランスクリプトーム解析から導き出すと共に、これら転写因子の特価二次代謝酵素に対する発現制御の有無を明らかにする。 また、微生物に応答した根の成長制御に関わる因子に関しては、取得しているトランスクリプトームの結果から、候補遺伝子群を絞り込み、機能解析をすすめる。
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