研究課題/領域番号 |
20H03292
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 名古屋大学 (2021-2022) 東京大学 (2020) |
研究代表者 |
金 尚宏 名古屋大学, 生命農学研究科(WPI), 特任講師 (80822931)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | 概日時計 / Ca2+シグナル / 温度補償性 / CaMKII / 進化的保存性 / Na+/Ca2+交換輸送体 / Ca2+シグナリング |
研究開始時の研究の概要 |
本申請研究ではNCXとCaMKIIによる"カルシウムクロック"がいかにして自律振動するのかを解明する。そして、「生物時計の起源は光Ca2+シグナル」という仮説を検証するため、NCXとCaMKIIが体内時計だけでなく光受容においても中心的に機能するか否かを検証する。そこで個体レベルにおいて、体内時計の中枢組織あるいは光受容の中枢組織においてNCXやCaMKIIを欠損したマウスを作製し、自発行動リズムと明暗サイクルに対するリズム同調能を解析する。また細胞レベルの解析から、Ca2+振動制御因子を同定する。さらに、細胞での光Ca2+シグナル伝達系を構築し、NCXやCaMKIIの役割を解析する。
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研究成果の概要 |
本研究ではCa2+シグナルが、概日時計の温度補償性に生物種を超えて普遍的に関わるメカニズムであることを示した。また、細胞膜のNa+/Ca2+交換輸送体(NCX)およびCa2+/CaM依存性タンパク質キナーゼII (CaMKII)の各アイソフォームの体内時計における役割をマウスを用いて解析した。NCX2heteroノックアウトマウスおよびNCX2heteroNCX3homoノックアウトマウスは、野生型マウスと比べて長周期の輪回し行動リズムを示すことを報告した。さらに、CaMKIIalpha、CaMKIIbeta変異マウスでは行動リズムのリズム性が低下することを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
転写ループ (TTFL)モデルは、概日時計の基本骨格として30年近く受け入れられてきた。しかし近年、時計遺伝子が機能しない細胞においても概日リズムが観察され、振動メカニズムの再考が求められている。そして、動物、植物、真菌、シアノバクテリアで保存された起源的な振動本体が存在することが示唆されていた。申請者は、温度補償性という概日時計の特性の研究から、Na+/Ca2+交換輸送体 (NCX)とCa2+/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼII (CaMKII)がTTFLの上流に位置する鍵分子であることを見出し、細胞内Ca2+シグナルは生物系統で保存された起源的な時計の仕組みであることを突き止めた。
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