研究課題/領域番号 |
20H03308
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
東城 幸治 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (30377618)
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研究分担者 |
新美 輝幸 基礎生物学研究所, 進化発生研究部門, 教授 (00293712)
竹中 將起 信州大学, 理学部, 特任助教 (00854465)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 昆虫 / カゲロウ / 胚発生 / 卵胎生 / 胎生 / 繁殖生態 / 遺伝系統 / 卵黄タンパク / 発生遺伝 / 卵黄タンパク質 / 多様化 / 進化 / 適応放散 |
研究開始時の研究の概要 |
遺伝的に大きく分化した複数の系統群が汎世界的に広域分布し、系統ごとに卵胎生や胎生、単為生殖などといった様々な発生システムを進化させてきたフタバカゲロウに焦点を当て、その系統進化史・発生システムの特殊化・多様化プロセスを系統樹上にマッピングする。
特に、昆虫類における新規胎生を獲得した可能性が示唆される日本の系統における発生遺伝学的知見を蓄積させることで、本種の特異な系統進化・発生遺伝の関係性を究明する。また、これらの系統進化・発生・生態の特殊化に着目した「Evo-Devo-Eco」的アプローチを通して、本種の適応放散や汎世界的分布の確立の関係性に迫る。
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研究成果の概要 |
フタバカゲロウは南極を除く大陸に生息し、自然の止水環境のほか、学校プールや防火水槽などの人工池にも生息する。こうしたハビタットジェネラリスト的特徴は、ユニークな繁殖生態と深く関わっている。欧州の先行研究では、胚発生が母体内で進行する卵胎生で、孵化直前の卵が産下されると報じられたが、遺伝的に大きく分化した日本列島や朝鮮半島の系統では、孵化前の卵ではなく、母体内で孵化した幼虫が産下されることを明示した。加えて組織化学的研究から、胚発生初期には卵黄蛋白が卵内に存在せず、母体から卵内への栄養物質の供給を究明した。すなわち、本種は卵胎生ではなく、胎生であることを強く示唆する極めて重要な知見が得られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
動物の繁殖様式として、「卵生、卵胎生、胎生」は広く一般的にも理解されている。著しく種多様性の高い昆虫類種では、卵生が大多数であり、卵胎生は多くの昆虫目(内)において平行的に獲得されている一方で、胎生となると極めて僅かな事例が知られるのみである。 こうした中、原始的昆虫の一つであるカゲロウ目昆虫において、新規の胎生システムが進化していたことを究明したことのインパクトは甚大である。従来、卵胎生とされてきた欧州での研究に問題があったのか、はたまた、同一種内に、卵胎生(欧州)と胎生(東アジア系統)の系統が混在するのか、本種における胎生の進化を廻る議論は、さらに深い学術的な興味へと発展するものである。
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