研究課題/領域番号 |
20H03310
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高山 浩司 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60647478)
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研究分担者 |
田村 実 京都大学, 理学研究科, 教授 (20227292)
布施 静香 京都大学, 理学研究科, 准教授 (30344386)
梶田 忠 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (80301117)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | 海流散布 / 遺伝的多様性 / 集団ゲノミクス / 周辺種分化 / 広域分布種 / 海流散布植物 / 系統地理 / 種子散布 / 種分化 / 局所適応 / 日本列島 / 小笠原諸島 |
研究開始時の研究の概要 |
汎熱帯海流散布植物の分布の北限域である日本列島の温帯海岸域や小笠原諸島では、汎熱帯海流散布植物を母種として分化したと推測される地域固有種が複数種知られている。これらの地域固有種は、分布周縁部における地域的な選択圧や集団隔離が、種子散布によって維持される集団間の遺伝子流動の効果を上回ったために、平行的に種分化してきたと考えられる。本研究では、温帯域への適応や島嶼環境での地理的隔離が汎熱帯海流散布植物の分布周縁部での種分化をもたらしたという仮説を、複数の種群を対象にした集団ゲノミクス解析等により検証し、海流散布植物を中心とした海洋分散型生物の多様性維持創機構の理解に貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究では、汎熱帯海流散布植物の分布周縁における地域固有種の進化過程を解明することを目的としている。日本列島の温帯海岸域や小笠原諸島には、汎熱帯海流散布植物から派生したと推測される地域固有種が複数存在する。これら複数の分類群に着目して、(1)地域固有種を生み出した集団動態、(2)種分化・集団分化のパターンをもたらす自然選択、(3)地域固有種を生み出した地史的背景を解明する。 1.試料収集:オオハマボウ、ナガミハマナタマメ、ハマオモト、グンバイヒルガオを日本国内で収集した。また新たにイワタイゲキを解析対象に加えた。また海外産の試料に関しては、日本国内の植物園より入手するとともに、国外の研究者に試料収集の協力を依頼している。 2.オオハマボウと近縁種の葉緑体ゲノムおよびゲノムワイド一塩基多型解析により、オオハマボウと近縁種の系統樹を構築した。分岐年代推定により種の多様化時期が約100万年前であることを明らかにし、国際誌に誌上発表した。 3.ハマボウ、ハマオモト、イワタイゲキの葉緑体ゲノムならびにノムワイド一塩基多型解析を実施した。その結果、3種ではそれぞれ異なる遺伝構造が存在することが示された。ハマボウは太平洋側と東シナ海側の集団で遺伝的分化が見られるのに対して、イワタイゲキは中琉球を境に南北で遺伝的分化が見られることが示された。ハマオモトは日本列島の集団間ではわずかな遺伝的分化しか見られないことが明らかになりつつある。今後は、ナガミハマナタマメやグンバイヒルガオも解析に加えることで、種間の遺伝構造の共通性と固有性を明らかにする。また、集団遺伝学的解析に加え、生態ニッチモデリングや海流分散モデリングを行うことで、分布形成過程を解明していく予定である。 4.海流散布植物と同様に海洋島に分布する沈水生植物のマツモの新産地報告を和文誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの影響で、海外での試料収集を行うことができなかったが、国内での試料収集の規模を拡大し、成果を得ることができている。最も解析が進んでいるオオハマボウと近縁種(ハマボウを含む)は分岐年代推定が完了し、誌上発表まで行うことができた。ハマボウ、ハマオモト、イワタイゲキでは、それぞれ異なる種内の遺伝構造が存在することが示されている。この違いに関しては、集団遺伝学的解析に加え、生態ニッチモデリングや海流分散モデリングを行うことで、分布形成過程を解明していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
海外での試料収集が困難である場合は、国内での試料収集に重点を置き、解析を進めていく。今年度は未解析の分類群に関して葉遺伝解析を進めていく。さらに、生態ニッチモデリングや海流分散モデリングを行うことで、多面的アプローチにより分布形成過程を解明していく予定である。
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