研究課題/領域番号 |
20H03318
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
富松 裕 山形大学, 理学部, 教授 (40555398)
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研究分担者 |
横山 潤 山形大学, 理学部, 教授 (80272011)
松尾 歩 東北大学, 農学研究科, 助教 (90868754)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 夏緑樹林 / アーバスキュラー菌根 / 菌根共生ネットワーク / DNAメタバーコーディング分析 / 生活史 |
研究開始時の研究の概要 |
大多数の陸上植物は、根圏でアーバスキュラー菌根菌(AM菌)と共生しており、生態系の一次生産や物質循環における菌根共生の重要性は広く認識されている。しかし、植物とAM菌の共生関係は、これまで実験環境下で解明されてきた部分が大きく、いわば菌根の「潜在的な」機能が分かっているに過ぎない。本研究では北日本の夏緑樹林を対象として、植物とAM菌による菌根共生の実態を(1)植物とAM菌の相互作用ネットワーク、(2)AM菌群衆の形成過程における宿主植物の重要性、(3)植物の生活史を通じた菌根共生の時間動態、の3つの観点から解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
昨年度、北海道の夏緑樹林において Archaeospora 属と多く共生する傾向が見られたキンポウゲ科およびイネ科の植物種を対象として、次世代シーケンシングによるアーバスキュラー菌根(AM)菌の DNA メタバーコーディング分析を行った。森林内だけでなく、林縁や空地など比較的開けた場所に生育する植物種の菌根を新たに多数の場所から採集し、(1)植物の科や生育環境により AM 菌群集の多様性や組成が異なるか、(2)開けた場所に生育するキンポウゲ科とイネ科植物も Archaeospora 属と共生する傾向が強いのかなどを検証した。その結果、AM菌群集の多様性と組成は、植物の科や生育環境によって有意に異なっていた。しかし、植物の科や生育環境に関わらず、多くの植物種が多様な属のAM菌と共生していたことから、同属のAM菌であっても菌種によってニッチが異なる(異なる環境を好む)ことが示唆された。また、落葉高木であるヤチダモ(モクセイ科)を対象として、生活史の初期過程における菌根共生の時間動態を明らかにすることを目的として、宮城県内で観察を実施した。これまでの研究により、ヤチダモの当年生実生は地上に出現してから約1ヶ月後までにはAM菌と共生を始め、約4ヶ月が経過した後でも菌根共生率は30%程度であること、感染率が成木(約55%)と同程度に達するまでには少なくとも1年を要しており、草原生植物や作物において行われてきた先行研究と比べて、菌根共生率の上昇が緩やかに進行していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19拡大による影響により野外調査において制約が生じたことや、次世代シーケンサーでの作業におけるエラーにより作業がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度、遅れている作業を継続して行う。特に、菌根共生の時間動態については、複数の植物種を対象に観察と分析を実施する予定である。
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