研究課題/領域番号 |
20H03328
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
久保田 康裕 琉球大学, 理学部, 教授 (50295234)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | 生物多様性 / 気候変動 / 気候ニッチ / 新生代 / 生物多様性ビッグデータ / 生物多様性の緯度勾配 / 木本多様性 / ベータ多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、維管束植物の木本群集に焦点を当て、多様性の緯度勾配パターンの起源と歴史的動態メカニズムを解明する。まず、新生代の植物化石と現生植物種の分布情報を収集して 植物多様性ビッグデータを整備する。そして、過去から現在まで地質年代毎の木本多様性の 緯度勾配パターンを定量する。さらに、化石と現生植物のデータを統合して、緯度バンド毎 の木本属の絶滅率と生存率、緯度バンド間の分散率(レンジシフト)を推定する。これにより、木本多様性の緯度勾配の動態を、熱帯ニッチ保守性と温帯ニッチ進化の観点から検証する。特に、新生代の気候変動(温暖化や寒冷化)に対する木本群集の多様性パターンの応答を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究は、維管束植物をモデルにして、生物多様性の地理的パターンの起源と歴史的動態を分析している。昨年度は地質学的時間スケールの気候変動に対する木本群集の応答に焦点を当てた。具体的には、寒冷な気候条件と温暖な気候条件がベータ多様性の距離依存性にどのような影響を与えるかを、琉球を除く日本列島における新生代以降の被子植物の化石群集データ(95科の310属、7,468データポイント)を用いて検証した。漸新世、中新世、鮮新世、更新世、最終氷期、完新世、現代のそれぞれの時代において、地域群集間の属組成の入れ替わり地理的距離および気候的距離(年平均気温の差)依存性をモデル化した。その結果、被子植物木本類の属の入れ替わりは、最終氷期、完新世、現代においてのみ、地理的・気候的距離と有意な相関があった。温暖期である漸新世から鮮新世にかけては、属の入れ替わりは地理的・気候的距離とほとんど無関係であった。寒冷な環境下での空間・気候距離依存的入れ替わりは、気候勾配による種のフィルタリングの地域間差によって、列島全域の木本植物群集が空間的に多様化したものと考えられる。一方、温暖な地質年代(新生代前期)において距離依存の入れ替わりが見られなかったことと、この年代の気候は安定していたという事実から、温暖で安定した気候のもとで分散制限が緩和された可能性が示唆された。群集組成の入れ替わりの距離依存性は、現在のマクロ生態学において一般的なパターンとみなされている。今回明らかになった、温暖・安定な時代の均一的なベータ多様性パターンはそれとは一致せず、現在と異なる気候下での生物多様性パターンは、現在と同じとは限らないという一例だと解釈できる。また、本研究の結果は、温帯において予測されている将来の熱帯化が、生物多様性パターンの地理的な均質化を促進する可能性を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、研究を進捗できた。研究チームにおける博士大学院生の活躍により、新生代における木本属のベータ多様性を分析し、気候変動に関する生物多様性パターンの応答と生態学的プロセス(気候や地理的要因に関係したフィルター効果や分散制限)に関する論文を国際誌に発表した。さらに、東アジア島嶼に焦点を当てて、緯度と標高の2勾配に関係した植物多様性パターンの形成メカニズムについても分析を行い、投稿論文の原稿をまとめつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今後、本プロジェクトの成果を “Cenozoic dynamics of angiosperm woody plants under a changing climate”として原著論文として発表する予定で、投稿準備を進めている。最終的には、古気候変動に関する植物多様性の地理的動態から、現在進行している地球温暖化によって、地球規模の多様性パターンの変動を明らかにする予定である。
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