研究課題/領域番号 |
20H03341
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河原 行郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80542563)
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研究分担者 |
加藤 有己 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (10511280)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2021年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2020年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | RNA修飾 / 発生・分化 / 脳・神経 |
研究開始時の研究の概要 |
2本鎖RNA中のアデノシンをイノシンへと置換するRNA編集は、哺乳類において最も豊富に生じている転写後化学修飾である。この化学修飾を触媒するADAR1には、特に脳に高発現しているp110アイソフォームがあるが、その生物学的意義は全く不明である。本提案研究では、p110アイソフォームが脳形成・機能に果たす役割を解析し、鍵を握るRNA編集部位を同定することから、ADAR1の新たな機能を解明する。
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研究成果の概要 |
RNA編集酵素ADAR1にはp150とp110の2つのアイソフォームがある。このうちp110は、特に脳に高発現しており、本研究は、その役割を解明することを目的に実施した。ADAR1 p110選択的欠損マウスや神経細胞特異的ADAR1欠損マウスなどを作出して表現型等を解析した。その結果、p110が生後直後の脳神経系の恒常性維持に重要な役割を果たしていること、それにはRNA編集非依存的な機能が不可欠であることを解明した。一方、ADAR1 p150によるRNA編集機能の障害も特に脳に強い障害を引き起こすことを解明したことから、両アイソフォームの異なる機能が脳の恒常性維持に必須であると結論付けた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ADAR1遺伝子変異は、脳症を主症状としたエカルディ・グティエール症候群と呼ばれる先天的炎症性疾患の原因となることが知られている。今回の一連の研究を通して、この発症原因はADAR1 p150の機能低下であり、p110は関与しないことを明らかにした。また、脳症を再現するモデル動物の作出にも成功したことから、今後の病態解明と治療法確立に役立つことが期待できる。また、ADAR1の機能阻害はがん治療標的としても注目されているが、本研究を通してADAR1の2つのアイソフォームの機能の相違を明らかにできたことから、今後の阻害薬開発に役立つことが期待できる。
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