研究課題/領域番号 |
20H03346
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
岩里 琢治 国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 教授 (00311332)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2020年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | 神経科学 / 神経回路発達 / 神経活動 / マウス / 神経回路 / 発達期可塑性 / カルシウムイメージング / 体性感覚系 / バレル / マウス遺伝学 / 大脳皮質 |
研究開始時の研究の概要 |
高等動物の神経回路は神経活動の影響を強く受けながら機能成熟する。生後発達初期の脳には外界からの刺激に依存しない「自発的な神経活動」が存在し、それが神経回路精緻化に重要な役割を担うことが、主に視覚系の研究で示されてきた。近年、発達期特異的な自発活動が広範な脳領域に存在することが明らかになりつつあり、その性質や役割に注目が集まっている。申請者らは新生仔期のマウス大脳皮質体性感覚野に「パッチワーク型」という、体性感覚回路の精緻化に適した特徴をもつ自発活動が存在することを発見した。本研究は、この新規タイプの自発活動の発生機序を理解することを目的として行う。
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研究実績の概要 |
子供の時期の哺乳類脳の感覚神経回路の発達に、体内で自発的に発生する神経活動(自発神経活動)が重要な役割を担う。しかし、視覚系での研究は比較的進んでいるが、それ以外のモダリティーでの自発神経活動についてはわかっていないことが多い。研究代表者らは、これまでに新生仔マウスの一次体性感覚野にパッチワーク型の特徴的な時空間パターンをもつ自発神経活動の存在を明らかにし、さらに、それが、眼窩下神経よりも下流の末梢で発生し、視床皮質軸索を経由して大脳皮質に伝達されることを明らかにしていた。この新規の自発神経活動の発生機序を明らかにするために、前年度までにマウス体性感覚系末梢の三叉神経節のex vivo イメージングシステムを立ち上げ、新生仔マウスの三叉神経節の神経細胞が自発的に発火することを明らかにしていた。本年度はそのイメージングシステムを用いて、自発神経活動の性質の詳細な解析を行った。まず、三叉神経節の中でヒゲに投射する神経細胞の位置を同定する目的で、マウスの各列のひげにトレーサーを注入し、三叉神経節の中のヒゲ対応神経細胞の位置を特定した。このヒゲ対応領域に注目してex vivoイメージングを行い、神経細胞の発火パターンを解析した。発達段階を追って、生後0-1日齢、4-6日齢、14-16日齢、成体(60日齢以上)のマウスから摘出した三叉神経節でカルシウムイメージングを行い、さらに、別実験で得た成長に伴う三叉神経節の細胞密度の減少のデータで、発火頻度を補正した。その結果、生後2週間は三叉神経節の神経細胞は高頻度で発火するのに対し、成体ではほとんど発火しないことがわかった。すなわち、自発活動には幼若特異的であることが明らかになった。その他、三叉神経節で自発的に神経細胞が発火するメカニズムの解析、さらに、大脳皮質で見られる自発神経活動の時空間パターンが発生するメカニズムの解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は前年度までに立ち上げたマウス三叉神経節のex vivoイメージングシステムを用いて、自発神経活動の解析を行い、三叉神経節の自発神経活動が発達期特異性であること等重要な性質を明らかにすることができた。また、体性感覚系末梢の神経細胞が自発的に発火する機序、および、大脳皮質で観察される自発活動の時空間パターンが発生するメカニズムの解析も順調に進んだ。一部の実験は想定どおりに進まないものもあったが、おおむね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、体性感覚系末梢である三叉神経節の神経細胞が自発的に発火するメカニズムの解析を行う。また、マウスの一次大脳皮質で観察される自発神経活動が示す特徴的な時空間パターンがいかにして発生するのかを解明するために、三叉神経節の自発神経活動の性質の詳細な解析を行う。
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