研究課題/領域番号 |
20H03347
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
高木 朗子 (林朗子) 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (60415271)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2020年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 樹状突起スパイン / 統合失調症 / XLスパイン / 超線形神経演算 / 精神疾患 / マルチスケール / NEURONシミュレーション / 神経演算 / 樹状突起演算 / シナプス / シナプトパチー / 超非線形加算 |
研究開始時の研究の概要 |
統合失調症の病態生理に興奮性シナプスが関与すると考えられているが、シナプス病態の詳細、例えば、各シナプスの大きさ・強度(≒樹状突起スパインサイズ)、スパイン密度、樹状突起上にどのようにスパインが分布するかなどの定量的知見は非常に少ない。さらに脳の作動原理という観点で見た場合、これらのシナプス異常があると、樹状突起の演算機能や神経発火にどのような影響が生じるか全く未解明である。そこで、グルタミン酸アンケージングによるスパイン刺激を行いながら、樹状突起イベントと神経発火の詳細な時系列データを計測・解析することで、統合失調モデルマウスにおける、シナプス、樹状突起、神経発火との関係に迫る。
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研究成果の概要 |
統合失調症の病態生理に興奮性シナプスが関与すると考えられているが、シナプス病態の定量的知見やその生理学的意義は非常に少ない。そこで、スパイン→樹状突起→神経細胞の限られた階層に焦点を絞り、定量的な知見を蓄積した。統合失調モデルマウスに着目し、これらのモデルマウスに異常に強いシナプス強度をもつ樹状突起スパイン(巨大スパイン)が有意に多いこと、この巨大スパインを介したシナプス入力が自己再生的な電位増幅を誘発し、超線形な神経演算を実行すること、その結果、神経発火がランダムに亢進することを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の知見から、統合失調症の病態生理には何らかのシナプス機能の変調が関係する可能性が濃厚と考えられていましたが、その具体的なメカニズムは未解明であった。本研究では、統合失調症モデルマウスのグルタミン酸シナプス機能を、シナプスから行動まで多階層に検証することにより、非常に強いシナプス(巨大スパイン)の出現が病態生理を担うことを示した。これは新しい仮説であり、少なくとも一部の統合失調症群に関しては、新たな治療戦略を開発する必要があることを示唆した。
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