研究課題/領域番号 |
20H03355
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上川内 あづさ 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (00525264)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
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キーワード | ショウジョウバエ / 歌識別学習 / 抑制性神経伝達物質 / 神経回路機構 / GABAニューロン / 求愛歌 / 抑制性伝達 / GABA / 歌識別能力 |
研究開始時の研究の概要 |
幼児は成長初期に母語に曝されることで、その言語が持つ音の特徴を識別する能力が育つ。このような言語発達のメカニズムを理解するためには、ヒトでの研究に加えて、実験操作が行えるモデル動物での研究が有用である。近年我々は、言語学習の神経機構を解析するモデルとして、ショウジョウバエの歌識別学習パラダイムを確立した。本研究の目的は、この実験系を用いて、歌の識別能力の発達を担う神経回路機構を解明することである。ヒトと進化的にかけ離れたショウジョウバエで研究を進めることで、言語・歌学習を支える神経機構の多点比較が初めて可能となり、脊椎動物とも共通する一般原理の抽出や、多様性の理解が大幅に進むと期待される。
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研究成果の概要 |
本研究課題では、ショウジョウバエの歌識別学習を成立させる神経機構の解明を目指した。特に、抑制性神経伝達物質であるGABAに着目し、まずは分子遺伝学的な手法を用いて、責任GABAニューロン候補の絞り込みを進めた。その結果、脳の片側に数個しかないGABAニューロンが、歌識別学習の成立に必須であることを発見した。また、それらのニューロンで発現する神経伝達物質の受容体の同定と機能阻害の実験から、ニューロンが受け取る神経伝達物質群の同定に成功した。さらに歌識別の神経機構における種間差の解明研究も進め、二次聴覚ニューロンの一種の応答特性が、ショウジョウバエの近縁種間で異なることを発見した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
幼児は母語に触れることで、その言語が持つ音の特徴を識別する能力を発達させる。しかし、このような、特定のパターンを持つ音の識別能力がどのようにして経験に応じて発達するのか、その神経機構には不明な点が多い。近年我々が確立したショウジョウバエの歌識別学習パラダイムは、この課題に挑むための有効な実験モデルである。本研究課題ではその利点を存分に利用することで、この歌識別学習を成立させる神経機構の一端を明らかにした。さらに、歌識別を担う神経機構そのものの理解も進めた。今後、この成果をベースに次なる研究へと展開させることで、ヒトの言語発達を担うメカニズム理解の一助になると期待される。
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