研究課題
基盤研究(B)
生体膜リン脂質にはアラキドン酸やDHA などの高度不飽和脂肪酸が豊富に存在しており、それらは酵素的・非酵素的に酸化され、酸化リン脂質を生成する。申請者は最近、ホスホリパーゼA2の一種であるPAF-AH2 が酸化リン脂質を分解することにより、生理活性脂肪酸であるエポキシ化オメガ3脂肪酸を産生し、アレルギー反応を司るマスト細胞を賦活化していることを見いだした。本研究では、シトクロムP450の解析を中心にエポキシ化オメガ3脂肪酸の産生経路を解明するとともに、ケミカルフォワードジェネティクスと核内受容体に着目したリバースジェネティクスによりエポキシ化オメガ3脂肪酸の標的分子を同定する。
これまでに研究代表者はホスホリパーゼA2の一種であるPAF-AH2 が酸化リン脂質を分解することにより、生理活性脂肪酸であるエポキシ化オメガ3脂肪酸を産生し、アレルギー反応を司るマスト細胞を賦活化していることを見いだした。本研究では、シトクロムP450の解析を中心にエポキシ化オメガ3脂肪酸の産生経路を解明するとともに、ケミカルフォワードジェネティクスと核内受容体に着目したリバースジェネティクスによりエポキシ化オメガ3脂肪酸の標的分子を同定する。本年度はエポキシ化オメガ3脂肪酸の作用標的の候補となったTR4の解析をおこなった。エポキシ化オメガ3脂肪酸でmRNA発現が抑制されるSrcin1遺伝子のプロモーターを用いたルシフェラーゼアッセイにおいて、TR4を過剰発現するとSrcin1プロモーター活性が上昇する。TR4によるSrcin1プロモーター活性上昇に必要なSrcin1プロモーター領域を精査したところ、-500~-1000 bpの領域にある3つのシスエレメントを同定した。TR4によるSrcin1プロモーター活性上昇に対するエポキシ化オメガ3脂肪酸の効果を調べたところ、エポキシ化オメガ3脂肪酸の影響はみられず、なんらかの補因子が必要であることが示唆された。CRISPR/Cas9法でTR4の欠損マウスを作成したところ、欠損マウスは胎生致死となった。そこで骨髄由来培養マスト細胞においてTR4をノックダウンしたところ、PAF-AH2欠損によるSrcin1の発現上昇がキャンセルされ、エポキシ化オメガ3脂肪酸による発現抑制も見られなくなった。これらの結果から、TR4はマスト細胞におけるSrcin1の発現に必要であり、エポキシ化オメガ3脂肪酸はTR4の機能を抑制することで、Srcin1の発現を制御していることが示唆された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 9件、 査読あり 16件、 オープンアクセス 14件) 学会発表 (38件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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