研究課題/領域番号 |
20H03389
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
南 雅文 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (20243040)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2020年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 不安 / 抑うつ / 分界条床核 / 慢性痛 / ストレス / 情動 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性痛とうつ病の併発率が高いことから両者に共通の神経機構の存在が推測される。これまでに、慢性痛モデル動物において、分界条床核でのコルチコトロピン放出因子(CRF)を介した神経情報伝達亢進が脳内報酬系の持続的抑制を引き起こすことで抑うつ状態が惹起されることを明らかにしてきた。本研究では、行動薬理学、電気生理学、遺伝子発現解析、化学遺伝学・光遺伝学による神経機能解析、インビボ神経活動イメージングなどの解析手法を駆使して、分界条床核での神経情報伝達可塑的変化の分子機構を明らかにすることにより、慢性痛時の抑うつ状態の脳内メカニズムを明らかにし、それを手がかりとして、うつ病や不安障害のメカニズムに迫る。
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研究成果の概要 |
本研究結果により、慢性痛による不安亢進の神経機構として以下のような機構が示された。1) 慢性痛により分界条床核内の抑制性神経の興奮性が増大、 2)これにより外側視床下部に投射する分界条床核神経への抑制性シナプス伝達が増大、3)外側視床下部に投射する分界条床核神経の出力低下により下流への情報伝達が障害されることで不安が惹起される。さらに、外側腕傍核からの神経投射が分界条床核神経に痛みの情報を伝達している可能性を示した。また、分界条床核から外側視床下部に投射する神経の約半分が腹側被蓋野にも投射し、分界条床核から腹側被蓋野に投射する神経の約半分が外側視床下部にも投射していることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果から、慢性痛時に分界条床核から外側視床下部や腹側被蓋野に投射する神経の活動が抑制されることにより、抑うつや不安などの負情動が惹起されることが示された。本研究成果は、慢性痛による不安・抑うつの惹起に関与する神経基盤の一端を明らかにしたものであり、国際的にも高く評価される学術誌に掲載された。また、これらの知見は、不安障害やうつ病などの精神疾患の神経機構解明や治療薬開発に資することが期待される。
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