研究課題/領域番号 |
20H03398
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
阿部 太紀 東北大学, 医学系研究科, 助教 (40810594)
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研究分担者 |
新堀 哲也 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40436134)
吉成 浩一 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (60343399)
青木 洋子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80332500)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2021年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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キーワード | がん遺伝子 / RAS / MAPK / ヌーナン症候群 / ユビキチン修飾 / プロテアソーム / BTB-Kelchファミリー / CUL3 / KLHL12 / SEC31A / COPII / 上皮間葉転換(EMT) / AlphaFold2 / RASopathies / 発がん抑制 / がん遺伝子産物 / 発生異常 / がん原遺伝子 / プロテオスタシス / MAPKシグナル伝達経路 / がん |
研究開始時の研究の概要 |
RASの遺伝子変異はがん組織の約30%で同定される高頻度変異であり、がんの悪性度を決定する重要なドライバー変異である。近年、KRAS-G13C変異体阻害薬の臨床試験が開始されるなど、RAS阻害薬の開発競争が激化してきたが臨床使用が可能な薬剤は未だない。RASには多数のサブファミリーが存在し、その変異型は多岐に渡る。そのため、疾患の原因となる多種多様なRAS分子に効果を有する汎用性、特定のRAS変異体のみを標的とする分子特異性、を状況に応じて選択可能なRAS標的薬の開発が不可欠である。そこで本研究では、汎用性と特異性の両者を兼ね備えたRAS活性阻害法を確立することを目標として研究に取り組む。
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研究成果の概要 |
LZTR1は、CUL3型ユビキチンE3リガーゼの基質アダプターでありがん原遺伝子産物RASのポリユビキチン修飾とプロテアソームの分解に関与する。 本研究では、LZTR1のRAS以外の相互作用分子としてKLHL12を同定した。KLHL12はSEC31Aのユビキチン修飾反応を介してコラーゲンの細胞外分泌に関与する。がん細胞を用いた実験において、LZTR1機能障害時はRAS発現量を増加させることで上皮間葉転換EMTが促進され、KLHL12の機能促進によりコラーゲン分泌が亢進した。これらの生理学的な変化はがんの肺転移を著しく促進しており、LZTR1遺伝子変異はがんの悪性度を高める可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で着目したLZTR1は、希少遺伝難病であるNoonan症候群の原因遺伝子である。希少疾患であるため罹患者が少なく、LZTR1変異に特異的な臨床情報の蓄積はまだあまりない。一方でLZTR1はグリオブラストーマのような腫瘍でも遺伝子変異が多数同定されており、がんとの関係性を知ることは将来的な発がんリスクを考える上で有益な情報となる。また、LZTR1はがんの30%程度で変異が同定されるRASの分解制御を担っており、今回の研究成果はLZTR1の機能活性化によりRAS依存的な腫瘍に対する新たな治療法開発に役立つ可能性が考えられる。
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