研究課題
基盤研究(B)
慢性腎臓病(CKD)の場合、心血管疾患(CVD)や筋力低下・骨萎縮等を合併しやすいが、既存の治療方法ではその進行を抑制できず、新たな治療戦略の構築が希求されている。本研究では、CKDの進展とそれに伴う腎-遠隔臓器連関の新たな病態進展因子としてアルブミンの翻訳後修飾体に着目し、1)CKD患者アルブミンの網羅的翻訳後修飾解析を切り口に、臨床データとの連関解析を行い、悪玉となるアルブミン修飾体を絞り込み、その病態進展の診断マーカーとしての可能性を評価する。次に、2)悪玉アルブミン修飾体による腎、血管、筋肉・骨障害等の系統的精査を行うことでCKDの病態生理を解明し、新たな治療標的を見出す。
慢性腎臓病(CKD)は早期老化の表現型であり、高頻度で筋萎縮・筋力低下(サルコペニア)を合併する。サルコペニアの病態進行は寝たきりや転倒、骨折リスクのみならず、死亡リスクも高めることが知られている。超高齢社会を迎えた本邦においても、CKDが誘発するサルコペニア対策は喫緊の課題であるものの、その病態形成機構(腎筋連関)については未だ不明な点が多く、病態形成機序に基づいた新たな診断と治療戦略の開発が希求されている。最近我々は、CKD誘発サルコペニアの病態進展には、蛋白質過酸化物(AOPPs)の関与を明らかにしてきた(J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2021)。今回は透析患者83名(内訳:サルコペニア48名、プレサルコペニア16名、非サルコペニア19名)を対象に、血清AOPPs活性及びアルブミン酸化度(システイン付加アルブミン: Cys-albumin)と握力及び骨格筋量指数(SMI)の関係性を評価した。血清AOPPs活性は男女ともに握力及びSMIと有意な負の相関を示した。一方で、アルブミン酸化度は握力と有意な負の相関を示し、SMIとは相関傾向を示した。ROC解析の結果、サルコペニアの診断(非サルコペニア→サルコペニア間)に関しては、AOPPs、アルブミン酸化度及びC反応蛋白質(CRP)/アルブミン比で高いAUCを示した。さらに、CRP/アルブミン比にアルブミンの酸化還元状態の情報を組み込みCRP/(albumin×{Reduced Albumin/ (Oxidized albumin+Reduced Albumin)})とすることで、サルコペニア診断マーカーとしての信頼性が向上することが示された。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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