研究課題
基盤研究(B)
慢性腎臓病(CKD)の場合、心血管疾患(CVD)や筋力低下・骨萎縮等を合併しやすいが、既存の治療方法ではその進行を抑制できず、新たな治療戦略の構築が希求されている。本研究では、CKDの進展とそれに伴う腎-遠隔臓器連関の新たな病態進展因子としてアルブミンの翻訳後修飾体に着目し、1)CKD患者アルブミンの網羅的翻訳後修飾解析を切り口に、臨床データとの連関解析を行い、悪玉となるアルブミン修飾体を絞り込み、その病態進展の診断マーカーとしての可能性を評価する。次に、2)悪玉アルブミン修飾体による腎、血管、筋肉・骨障害等の系統的精査を行うことでCKDの病態生理を解明し、新たな治療標的を見出す。
本研究では、慢性腎臓病(CKD)の進展とそれに伴う腎-遠隔臓器連関の新たな病態進展因子としてアルブミンの翻訳後修飾体に着目し以下の知見を得た。1)糖尿病性腎臓病患者を対象とした臨床試験より、酸化型アルブミン(Oxi-Alb)が早期診断マーカーとなる。2)Oxi-Albは筋萎縮を誘発し、血清中Oxi-Alb濃度がサルコペニアマーカーになる。3)Oxi-Albは脂肪炎症の誘発因子となる。4)Oxi-Alb情報を組み込みことで、サルコペニア診断マーカーとしての信頼性が向上することを示した。以上、Oxi-Alb自身が悪玉となること及び病態進展のマーカーとなることを示した。
慢性腎臓病(CKD)の場合、腎病態の進行に伴い、心血管疾患に加え、要介護状態の危険因子である筋力低下(サルコペニア)・骨萎縮等、複数の遠隔臓器障害が治療成績向上に対する大きな障壁となっている。本研究では、血清アルブミンの翻訳後修飾に注目し、CKDで上昇する酸化アルブミンが体内で悪玉として機能することに加え、その血清中濃度が病態進展のバイオマーカーになることを示した。本研究の新規性からも、得られた結果の学術的意義や社会的意義は大きいものと思われる。
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