研究課題/領域番号 |
20H03452
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
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研究機関 | 大阪大学 (2023) 東北医科薬科大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
井ノ口 仁一 大阪大学, 大学院理学研究科, 特任教授 (70131810)
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研究分担者 |
狩野 裕考 東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (40774279)
稲森 啓一郎 東北医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (70710375)
新田 昂大 東北医科薬科大学, 薬学部, ポスト・ドクター (30847976)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | ガングリオシドGM3 / TLR4 / Caspase4/11 / マクロファージ / パイロトーシス / Caspase4/11 / 敗血症モデル / スフィンゴ糖脂質 / 炎症生疾患 / Caspase 4/11 / グリボシドGb3 / 慢性炎症 / RAGE / LPS / HMGB1 / IL 1-alpha / グロボシドGb3 |
研究開始時の研究の概要 |
GM3やGb3には、異なるセラミド構造を持つ多様な分子種が存在し、TLR4の内因性モジューレーターとして機能していることを見出している。極長鎖飽和GM3分子種は、LPS刺激によるマクロファージのTLR4受容体活性化を介した炎症性サイトカイン産生を著しく増大させた。一方、長鎖GM3分子種はTLR4受容体の活性化を抑制した。メタボリックシンドローム発症初期においては、抗炎症性長鎖GM3分子種が減少し、炎症性疾患の発症に関与している可能性がある。GM3やGb3分子種の発現変動パターンと、さまざまな疾患との関連性が明らかになれば、慢性炎症性疾患の新規診断・治療法の開発に貢献するものと期待される。
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研究実績の概要 |
我々は、極長鎖GM3は、第二のリポ多糖受容体:Casp4/11を介した炎症性細胞死:パイロトーシスを大きく亢進させ、反対に、長鎖GM3は 、それらの応答を強く抑制することを見出した。TLR4活性化によって産生されるサイトカインのうち、TNF-αを含む多くのサイトカインは分泌シグナルをもち、刺激後、すみやかに放出されるが、IL-1αなどの一部のサイトカインは分泌シグナルをもたず、TLR4活性化に加えて、Casp4 /11およびGsdmDを介した細胞膜ポア形成によって放出される。極長鎖GM3によるIL-1α放出の促進は、これらの因子を経由しており、加えて、G alectin-3存在下でその応答がさらに促進されることも見出した。 そこで、GM3分子種とCasp4/11の直接の相互作用を検討するため、リコンビナントCasp4: rCASP4(C258A)を調製し、GM3C24, C18, C16, C12およびLacCerC24のrCASP4(C258A)のオリゴマー化に対する影響を検討した。その結果、VLCFA-GM3(GM3C24)は活性化オリゴマー(Octamer)の形成を強力に促進し、LCFA-GM3(GM3C16, GM3C12)ではOctamerは形成されなかった。LacCerC24には効果が認められず、GM3の糖鎖構造末端のシアル酸残基とアシル鎖の長さがCASP4との相互作用にクリティカルであることが明らかとなった。 次に、敗血症モデルを用いてGM3分子種のin vivoにおける作用を検討したところ、LPS投与によって敗血症ショックを誘導したマウスの腹腔内にVLCFA-GM3(GM3C24)を投与すると、IL-1αの血中濃度が有意に上昇した。一方、LCFA-GM3 (GM3C16)の投与は、TNFおよびIL-1α血中濃度が有意に低下しており、明らかな抗炎症効果を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
敗血症モデルを用いてGM3分子種のin vivoにおける作用を検討したところ、LPS投与によって敗血症ショックを誘導したマウスの腹腔内にVLCFA-GM3(GM3C24)を投与すると、IL-1αの血中濃度が有意に上昇した。一方、LCFA-GM3 (GM3C16)の投与は、TNFおよびIL-1α血中濃度が有意に低下しており、明らかな抗炎症効果を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
パイロトーシスの研究は、主にマクロファージを用いて行われてきたが、リンパ球、上皮細胞、神経細胞、心筋細胞、肝細胞など様々な細胞がパイロトーシスを起こし得る。自己免疫疾患や自己炎症性疾患の病態では、いずれもパイロトーシスが深く関わっていることが次々と示されている。炎症抑制性GM3分子種であるLCFA-GM3は単球をLPSおよびHMGB1の刺激した際のTLR4活性化および非古典的経路であるCaspase 4/11の活性化を介するパイロトーシスを強力に抑制することを見出しており、単球に加えて膵β細胞、脂肪細胞および糖尿病合併症である糖尿病性腎症、糖尿病性心筋症、糖尿病性網膜症、糖尿病性末梢神経障害の研究に用いられている以下のモデル細胞株を用いて、LPS類縁体、HMGB1およびHigh glucoseやAGE-BSA刺激に対するLCFA-GM3の有効性(パイロトーシスに対する抑制効果、etc)を検討することを1年後の目標とする。 1.膵β細胞株 MIN6β細胞株 2.脂肪細胞株 3T3-L1脂肪細胞株 3.糖尿病性腎症(DN): HK-2 podocyte細胞株 4.糖尿病性心筋症(DCM): AC16心筋細胞株 5.糖尿病性網膜症(DR):正常ヒト網膜周皮細胞 6.糖尿病性末梢神経障害(DPN): RSC96 Schwann細胞株
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