研究課題/領域番号 |
20H03465
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高場 啓之 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (50637444)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | 胸腺 / 獲得免疫 / 自己免疫疾患 / T細胞抗原受容体 / 自己抗原 / がん免疫 / 抗原提示 / T細胞 / 負の選択 / 自己免疫 / 免疫監視 / 胸腺上皮細胞 / 免疫寛容 / 転写因子 / 末梢組織抗原 |
研究開始時の研究の概要 |
胸腺で出来上がったTreg細胞は、末梢臓器へ移動し、自己免疫の抑制や組織修復や恒常性の維持に関わる。末梢臓器に存在するTreg細胞は、 所属リンパ組織から特定の臓器へと移動し、段階的に機能形質を獲得していくと考えられている。しかしながら、どのようなストローマ細胞集団が、組織でヘテロな状態で存在するTreg細胞の成熟に関わっているのかほとんど分かっていない。予備データに基づき、胸腺内で成熟したTreg細胞は所属リンパ組織に存在するTreg細胞と遺伝子プロファイルがほとんど変化しないことから、本研究では、胸腺内のTreg亜細胞集団を生み出すメカニズムの実態と生理学的な機能を明らかにする。
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研究実績の概要 |
獲得免疫系は、リンパ球が体内に侵入した異物や微生物を見つけ出し、排除するシステムである。このシステムは生体内で主にヘルパーCD4T細胞によって管理されており、免疫反応を終える役割もヘルパーT細胞の一部が担っている。制御性T細胞は免疫反応を終える上で特に重要な細胞で、免疫の抑制に役立つ特別なT細胞集団であり、制御性T細胞は主に、ヘルパーCD4T細胞から胸腺で分化します。制御性T細胞は、特定の抗原を認識することで、免疫反応を適切に調整し、体内のバランスを保ち、自己免疫病や過剰な炎症免疫応答を抑える働きがあります。このように、制御性T細胞は自分自身に対する免疫反応を抑制することで、自己免疫寛容の維持や、組織の損傷を防ぐ役割を果たす。しかし、制御性T細胞が胸腺でどのように作られるのか、その仕組みはまだ明らかになっていません。研究者は以前、自己抗原発現を制御して自己免疫寛容を担保する分子として転写因子Fezf2を同定した(Takaba et al., Cell, 2015)。そこで、胸腺でFezf2を欠損させたマウスを用いて、自己応答性T細胞の選択機構と分化機構の解明を目指した。これまでに、シングルセル解析によりFezf2依存的に出来上がる自己応答性T細胞の亜集団(SurT細胞)を発見した。興味深いことに、SurT細胞は制御性T細胞のマーカー遺伝子をいくつか発現するにも関わらず、制御性T細胞とは機能的に異なることを見出している。さらに申請者は、いくつかのSurT細胞マーカー分子を同定し、特定の遺伝子に対して遺伝子改変マウスを作ることで、SurT細胞の分化機構や分子機能を明らかにすることを目指した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請者は以前報告した自己免疫寛容誘導因子Fezf2欠損マウスを用いて、胸腺で独立して出来上がるT細胞サブセット(SurT細胞)を見出した。そこで、いくつかのSurT細胞マーカーを同定し、それぞれのマーカー遺伝子に対して遺伝子改変マウスを作製することで、自己免疫病モデルや癌モデルにおけるSurT細胞の機能を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
申請者は、以前に研究した自己免疫を抑制する因子Fezf2の機能欠損マウスを用いて、胸腺で独自に創られる特殊なT細胞集団(SurT細胞)を見つけた。そこで申請者は、いくつかの遺伝子改変SurT細胞マウスを作製し、自己免疫やがん免疫におけるSurT細胞の働きを明らかにした。今後、SurT細胞の機能調節を人工的に行うことで、SurT細胞を介したがん免疫療法や自己免疫療法の効果向上を可能にさせる新規免疫療法の確立に繋げる。
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