研究課題/領域番号 |
20H03477
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49040:寄生虫学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岩永 史朗 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (20314510)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2020年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | マラリア原虫 / ヘテロクロマチン / マラリア / 免疫回避 / 性分化 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は転写因子であるAP2-HCが全ての多重遺伝子族を標的遺伝子と性分化を誘導する転写因子AP2-Gを標的遺伝子することを発見した。多重 遺伝子族とAP2-Gはヘテロクロマチンによるエピジェネティックな発現抑制を受けることから、この発見は多重遺伝子族の発現制御と性分化の 制御にAP2-HCが関わる共通の分子基盤があるということが示唆された。そこで、本研究ではAP2-HCの機能解析を進め、ヘテロクロマチン形成 機構での役割を明らかにする。本研究の成果はマラリア原虫の免疫回避機構と性分化機構の解明において大きなブレークスルーとなると期待さ れる。
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研究成果の概要 |
AP2-HCはマラリア原虫の核内分子であり、多重遺伝子族およびAP2-G遺伝子近傍に形成されるヘテロクロマチン領域に特異的に局在する。しかし、その生理的役割については不明である。本研究ではCRISPR-Cas9法による遺伝子操作技術、ChIP-seq解析、ビオチンリガーゼを用いた近接分子修飾法を使い、AP2-HCがヘテロクロマチン近傍のTGTGTG配列を特異的に認識すること、SET1及びSWD1と相互作用すること、並びにこの相互作用を通じ、ヘテロクロマチンアイランドの形成・テロメアの恒常性維持に関与することを示唆した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
マラリア原虫は多重遺伝子族によりコードされる赤血球表面抗原を使い、その発現を転換することで宿主免疫を回避する。また赤血球内での生育過程で一部の原虫内で転写因子(AP2-G)の発現活性化が起き、雌雄の生殖母体細胞へと分化する。これらの現象は同一の遺伝学的背景を持つ原虫で起こることから、エピジェネティックな制御によると考えられるが、その機構は不明のままである。本研究の成果はその解決の手がかりを与え、エピジェネティク制御という学術的な意義だけでなく、ワクチン開発、生殖母体細胞を標的とした薬剤開発に貢献し、社会的な意義がある。
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