研究課題/領域番号 |
20H03506
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
鈴木 敬一朗 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 客員研究員 (90391995)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2020年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | IgA / 糖鎖 / 腸内細菌 / 糖鎖修飾 / 腸内共生細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
腸管粘膜は、多種多様な腸内細菌との相互作用によって生体恒常性を維持する重要な役割を担っている。IgAは粘膜防御機構の主役であり、細菌表面に結合して病原菌の排除、あるいは共生菌の定着や代謝機能の促進に働いている。しかし、IgAがどのようにして腸内細菌の排除と機能促進という一見相反する作用を実現しているのかは不明である。最近の研究によってIgAの糖鎖がこの現象の鍵を握っている事が示唆されており、本研究では腸管IgAの糖鎖が共生細菌の定着と代謝機能の促進に果たす役割の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
IgAは腸管内腔で腸内細菌叢を維持する重要な役割を担っている。そのメカニズムは不明の点が多く残されているが、我々の過去の研究ではIgAの糖鎖が重要な役割を担っている事が示唆されている。本研究で様々なIgAを比較解析した所、IgAの糖鎖は大腸内腔において腸内細菌の影響により大きく変化する事が明らかとなった。また、無菌マウスに数種類の既知の細菌種あるいは糞便細菌叢を定着させる実験を行ったところ、細菌の種類によってIgA糖鎖の分解あるいは生成に関与するものの両者が存在する事が判明した。以上より、IgA糖鎖は腸内細菌との複雑な相互作用によって調節される事が明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
腸管IgAは腸内細菌を制御して腸管恒常性の維持に重要な役割を果たしているが、IgAと腸内細菌の相互作用メカニズムは複雑で多くの不明点が残されている。本研究によって、腸内細菌がIgAの糖鎖構造に大きな変化を加えている事が明らかとなり、腸内細菌が腸管液性免疫の質に重大な影響を与えている事が示唆された。今後の研究によってIgAにおける特定の糖鎖が腸内細菌の構成と機能をどのように変化させるのかを明らかにする必要がある。これらの研究によって、人為的に腸管免疫機能を変化させる方法の開発に繋がると考えられる。さらに長期的には、腸内細菌の異常が関連する炎症性腸疾患や自己免疫性疾患の治療に資すると期待される。
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