研究課題
基盤研究(B)
悪性脳腫瘍である膠芽腫に対する治療薬は現在のところアルキル化剤テモゾロミド(TMZ)のみであり、そのTMZに対しても最終的に耐性が出現することから、その克服や新規治療法の開発が喫緊の課題である。本研究では、ゲノムワイドCRISPR/Cas9スクリーニングによりATRX変異陽性膠芽腫のアキレス腱を発見し、新規合成致死性メカニズムに基づいた新たな治療選択肢の創出を目指す。加えて、ATRX変異によるエピジェネティック変化が細胞のトランスクリプトーム多様性に影響し、それによって膠芽腫の進展や薬剤耐性が誘導されるという新たな仮説を検証する。
悪性脳腫瘍であるグリオーマに対する治療薬は現在のところアルキル化剤テモゾロミド(TMZ)のみであり、そのTMZに対しても最終的に耐性が出現することから、新規治療法の開発が喫緊の課題である。本研究では神経膠腫に最も高頻度に認められるATRX変異に着目し、TMZに対する合成致死性メカニズムをゲノムワイドCRISPR loss-of-functionスクリーニングにより解析した。その結果、ATRX野生型と変異型のグリオーマ細胞はTMZに対して異なる脆弱性を有することを発見した。今後分子機構を詳細に解析することで、TMZの感受性を高めるコンビネーション療法や患者層別化マーカーの開発を推進していく。
抗がん剤であるTMZはグリオーマに対して一定の効果があるものの、いずれ効き目がなくなってしまう。また、抗がん剤が効きやすい患者だけでなく、そもそも効かない患者も存在する。今回の研究成果から、特定の遺伝子を抑制する薬をTMZと同時に併用することでその効果が増強される可能性や、TMZが効きやすい患者の選別に応用可能な遺伝子の情報を得ることができた。今後これらのメカニズムをさらに研究し、効果的な治療法の開発へと結びつけたい。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
Nature Communications
巻: 14 号: 1 ページ: 1-19
10.1038/s41467-023-35880-y
Cancer Science
巻: 114 号: 3 ページ: 730-740
10.1111/cas.15681