研究課題
基盤研究(B)
BRAF変異腫瘍は、変異タンパクの機能により3種類に分類される。また、変異タンパクが果たす役割については、腫瘍の発生臓器により異なることが示唆されている。本研究では、これまでに報告されている変異のうち、機能が判明していないものについて機能解析を行う。そのうえで、各サブタイプについて国際共同研究により検体・患者由来ゼノグラフトを用いた解析を行い、臓器特異性の背景を解明する。最終的には、各変異に対し、臓器特異性に基づく有効な治療を提唱することが目的である。
BRAFの機能不明バリアント106種類について機能解析を行い、機能獲得変異を新規に17種類同定した。これらの変異について、機能を獲得した理由をタンパク質の配列、構造、相互作用などから推定するとともに、機能予測モデルの構築を行った。また、BRAF変異は、その機能から3種類に大別されるが、各変異を有する大腸がん症例について発現解析・パスウエイ解析を行い、表現型の違いが腫瘍形成に与える影響を検討した。さらにClass I変異BRAF腫瘍に着目し、現在承認されている阻害薬に耐性となっている原因について、候補分子の同定を行った。
ゲノム医療特に包括的遺伝子プロファイリング検査が臨床導入され、近年BRAF変異が同定される機会が増えている。それらの多くは機能不明バリアントであることから、本研究により、機能不明バリアントの機能予測が可能になれば、患者の治療法選択に役立てることが可能である。また、BRAF Class 1変異(V600変異)大腸がんについては、現在抗EGFR抗体とBRAF阻害薬の併用療法がされているが、30%程度の患者に奏効するのみである。本研究ではパスウエイ解析の結果、Class 1変異が2種類に分類される結果が得られており、今後阻害薬の効果との関連を明らかにすることで、新たな治療法を提唱できる可能性がある。
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