研究課題
基盤研究(B)
脳は獲得した経験、すなわちエピソード記憶から意味や概念を抽出し、他の状況に応用可能な「知識」を創る優れた機能を有する。しかし、獲得した経験から知識がいつどのように発生し、利用されるのかそのメカニズムを示した研究はない。本研究では、マウスの思考をデコーディング可能な新規行動実験系と最先端の神経活動計測・操作テクニックを起点に、「アイドリング時に記憶同士がリプレイを介して照合・統合されることで知識が生まれる」と仮説を立て、従来アプローチ不能であった経験から生じる知識の獲得機序を明らかにすることを目的とする。
思考デコーディングに基づく、知識獲得の神経機序の解明を目的として、研究を進めた。その過程の中で、mPFCのスキーマ学習課題時の脳活動は睡眠中には再生(リプレイ)および相互作用しているという明確な結果は得られなかったものの、mPFCのニューロン活動は学習時とは別に、ノンレム睡眠とレム睡眠で活動する細胞集団は完全に異なる亜集団に分かれており、一週間以上安定していることを発見した(TOYAMA MEDICAL JOURNAL(富山大学医学会誌)第33巻1号 2023)。更に深く解析を進めた結果、教師なし学習で大規模データから「シークエンス神経活動」の神経活動表現を抽出するアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムにより検出されたシークエンス神経活動の行動デコーディングを起点として、スキーマ課題において、課題のルールはmPFCの複数のシークエンス神経活動により戦略的行動や報酬への反応・予測を表す要素(知識)に分解されること、対応するルール学習要素は課題の習熟度が上がるにつれて、ロバストなシークエンス神経活動によって、より鮮明に表現されることを発見した(論文投稿準備中)。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 7件) 備考 (1件)
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https://www.u-toyama.ac.jp/wp/wp-content/uploads/20221216.pdf