研究課題/領域番号 |
20H03627
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
|
研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
鷲山 幸信 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80313675)
|
研究分担者 |
高橋 和弘 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20370257)
杉山 暁 東京大学, アイソトープ総合センター, 助教 (40562715)
山下 雄史 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任准教授 (50615622)
右近 直之 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 助教 (70792985)
横山 明彦 金沢大学, 物質化学系, 教授 (80230655)
趙 松吉 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80374239)
巽 俊文 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特別研究員 (80868232)
粟生木 美穂 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 助手 (10783227)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2020年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
|
キーワード | α線 / アスタチン-211 / アイソトープ治療 / プレターゲティング / ドジメトリー / アスタチン / ビオチン / アビジン |
研究開始時の研究の概要 |
再発や転移を伴い体内に広がった進行がんに対する副作用の少ない治療薬開発は、がん研究における最大の目標である。本研究では、改変ビオチンと低免疫原性ストレプトアビジン変異体融合一本鎖抗体にアルファ線を放出するアイソトープを標識し、プレターゲティング法における薬物動態支配因子の抽出とその制御を行う。そしてその結果として、高い腫瘍対正常組織線量比を達成し、複数種のがんへ適応することを目指す。
|
研究実績の概要 |
研究2年目はin vitoro試験において、細胞に抗CEA scFv-Cupidが結合した後に経時的にFITC標識-Psycheを加え、細胞膜上へでの結合を定量的に評価した。CEA発現量が高い胃がん細胞MKN-45において、抗CEA scFv-Cupidを添加して1時間後に加えたFITC標識-Psycheに対する特異的結合が認められた。しかしこの結合は抗CEA scFv-Cupidを添加して3時間、6時間後には結合量が減少し、24時間後にはほとんど結合が確認できなかった。一方、CEA陰性のDLD1細胞においては、抗CEA scFv-Cupidを添加して1, 3, 6, 24時間経過した後にFITC標識-Psycheを加えても特異的結合は認められなかった。以上の結果から、抗CEA scFv-CupidはCEA陽性がん細胞に得的に結合するが、Psycheとの結合は時間経過と共に減少し、細胞膜上の抗CEA scFv-Cupidが内在化あるいは構造の変化が生じていることが示唆された。 抗CEA scFv-Cupidは分子量が16万と比較的重く、投与24時間後も血中内に1%残存する。この状況で放射性Psycheを投与しても、腫瘍細胞膜抗原上に結合している抗CEA scFv-Cupidに到達する前に、血中の抗CEA scFv-Cupidと結合してしまうことから、血中に滞留する抗CEA scFv-Cupidの薬物動態制御を検討した。具体的には安定同位体ヨウ素を標識したI-Psyche-Bを抗CEA scFv-Cupid投与11時間後に投与し、血中内の抗CEA scFv-Cupidをマスクした。その結果、抗CEA scFv-Cupid投与24時間後に投与した211At-Psyche-BRは血中からのクリアランスが改善した。ただ腫瘍への集積も少ないことが判明した。 今後は、抗CEA scFv-Cupidを細胞膜抗原上に長期に亘って保持させる検討を行い、治療試験でその効果を検証する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ過により当初よりも有機合成と動物実験の準備に時間を要した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き種々の改変ビオチンを作成し、それらが示す薬物動態から、動態に影響を及ぼす因子を抽出し腫瘍集積および正常組織からのクリアランス、さら被ばく線量計算結果と治療効果との比較を行い、標的がん種に応じたプレターゲティング法の最適化を図る。具体的には以下の項目を実施する予定である。 1)RI標識ストレプトアビジン変異体の投与濃度変化による薬物動態変化の検討 2)血中に滞留するストレプトアビジン変異体の薬物動態制御の検討 3)TIに着目した改変ビオチン化合物のリンカー部位の修飾(アミノ酸付加)による薬物動態変化の実験的比較と影響因子の抽出 4)TIに着目したストレプトアビジン変異体と211At標識改変ビオチン化合物の投与間隔による薬物動態変化の検討 5)複数のがん種に対応したscFVストレプトアビジン変異体またはaffibodyストレプトアビジン変異体と211At標識改変ビオチン化合物を用いた治療試験
|