研究課題
基盤研究(B)
ミトコンドリアは生体内ATP産生の中心であり、ミトコンドリア呼吸鎖複合体は、好気的代謝により、生体内が必要とするATPの大半を産生する。ミトコンドリア病とは、主として呼吸鎖複合体の遺伝性疾患であり、約1万人あたり1人と、頻度の高い遺伝性疾患である。今回の研究では、各種誘導体を合成し、Apomorphineの細胞保護作用と①ATP産生上昇、②mTOR抑制、③炎症性サイトカインの抑制、④D-Rアゴニスト作用との関係を明らかにし、Apomorphineの細胞保護作用に必要な特性が①~④のいずれかを明らかにする。またApomorphineの結合蛋白を同定することにより、Apomorphineの細胞保護作用経路を明らかにし、同時に新規ミトコンドリア病治療薬を得る。
今回の研究期間に、アポモルフィンは、フェロトーシス阻害作用によってBSO誘導細胞死を阻害していることを明らかにした。また、この抗フェロトーシス分子メカニズムとしては、酵素Xに結合してこれを活性化し、ミトコンドリア病に見られるNADHストレスを低減し、ミトコンドリア機能を改善する経路を見出した。さらに、アポモルフィンのフェロトーシス阻害作用は、ドパミンアゴニスト作用とは異なることを示し、ドパミン受容体への結合能を無くしたアポモルフィン誘導体を合成し探索することで、ドパミンアゴニスト活性による副作用を低減したフェロトーシス阻害剤を多数創製した。これらの研究成果を纏めて特許出願した
アポモルフィンおよび誘導体は、ミトコンドリア機能低下にともなうATP産生能を改善し、フェロトーシス、還元ストレス上昇、炎症の指標を有意に改善させることを見出した。またその分子基盤として酵素Xの活性化にあることを見出した。アポモルフィンおよび誘導体は、ミトコンドリア病のみならず、加齢によるミトコンドリア機能低下と関連した疾患、アルツハイマー病やパーキンソン病、非アルコール性脂肪性肝疾患等における有効性が期待される。実際に共同研究により、これらの疾患群への有効性を示しつつある。これらの成果により新しい機序に基づいた日本発の新薬創成が可能となった。
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