研究課題
基盤研究(B)
本研究は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)からの肝癌発症・進展の分子メカニズムの解明を目指して、ドライバー遺伝子のカタログを作成することを目的とする。申請者はマウス生体内での癌遺伝子探索技術を用いて、これまでにNASH由来肝癌ドライバー遺伝子候補を多数同定した。本研究ではNASH由来肝癌臨床試料のデータ解析と動物モデルで得られた結果を統合し、独自に開発した新規技術を用いて、ハイスループットな癌ドライバー遺伝子候補の検証並びに機能解析を行う。最終的にはカタログ化されたドライバー遺伝子群を対象としたNASH由来肝癌診断パネルを作成し、個別化医療の実現を目指す。
CRISPR/Casライブラリーをマウス肝臓に導入し、ハイスループットに肝癌のがん遺伝子を同定できる新たなスクリーニングシステムを樹立した。そして、これまでに実施したトランスポゾン挿入変異スクリーニングの結果得られた多数の肝癌がん遺伝子候補に関して、このシステムを用いて検証を行い、Sav1,Gsk3b、Setd2、Lonp2がNASH肝癌の新たながん抑制遺伝子として機能していることを明らかにした。また、Traf3遺伝子が、肝細胞から胆管細胞への分化転換を制御する遺伝子であり、Traf3/NIK経路の制御異常により、分化転換異常を介して肝細胞から肝内胆管癌が発症する新たな機構を明らかにした。
樹立した新たなマウスシステムは、生体内において肝癌の発症に寄与する分子を効率よく同定できる新しい技術であり、今後肝癌における発症メカニズムの解明や新たな治療標的の同定に応用できる研究成果である。また、本研究で同定された新たな肝癌のがん抑制遺伝子やその下流経路を標的とした肝癌治療薬や予防法開発に繋がる成果と考えられる。肝癌は全世界での死亡者数4位(約78万人)の難治性がんであり、日本国内に3万5千人の患者が存在し、年間死亡者数は2万9千人に上る非常に予後不良な癌である。本研究は治療法開発などを通じた肝癌の予後改善に繋げるための、基礎的に重要な成果であり、社会的意義は大きい。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (17件) (うち国際共著 8件、 査読あり 17件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 7件、 招待講演 5件) 図書 (1件) 産業財産権 (3件)
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