研究課題
基盤研究(B)
本研究では、肺がんで主要に認められるドライバー変異や組織型別での発がんリスクとの関連を明らかにする。さらに発がんリスクに関わるHLAアリルやバリアントが術後再発予後やプラチナダブレット療法の応答性に関連するかを明らかにする。肺がん特異的なHLAリスク/プロテクティブアリルが認められた症例由来のがん組織を用いた全エクソン・RNAシークエンスデータを用いて、ネオアンチゲンの推定とHLAアリルとの結合能の推定を行う。初年度は既に取得されているゲノムデータを統合するとともに、ネオアンチゲン解析に必要ながんゲノムデータの取得を行う。2年次以降は、得られたゲノムデータを用いた関連解析を実施する。
本研究で実施した全ゲノム関連解析により、アジア人集団で既に報告されている10座位と欧米人集団で報告されている2座位が本研究で検証された。さらに、7つの新規遺伝子座(PTPRG、TERC、BTN2A1、HLA-C、HLA-DQB1、BAK1、ASB15)が本研究で確認された。BTNL2、BTN2A1遺伝子はγδ T細胞の分化誘導に寄与することが知られており、BTNL2、BTN2A1といったブチロフェリン様遺伝子のリスクバリアントが血球中の遺伝子発現量と負の相関を示した。以上の結果より、HLAアレル以外にも肺腺がんの発がんリスクに免疫回避機構が複数関与している可能性を示した。
本研究を通して、肺腺がんの発症リスクには数十の感受性遺伝子座が寄与していることを明らかにし、その中にはMHC領域に多くの独立した因子を同定するに至った。これらの感受性遺伝子座を組み合わせたpolygenic risk scoreを算出することで、高リスク群を同定し、肺がんに対する高リスク群の層別化手法の構築に繋げられた。今後は臨床検体を用いてがん組織中の免疫プロファイルとの統合解析をさらに実施し、発症要因のメカニズムを明らかにする予定である。
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