研究課題/領域番号 |
20H03696
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
岩野 正之 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (20275324)
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研究分担者 |
森 俊雄 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (10115280)
清野 泰 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50305603)
岡沢 秀彦 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50360813)
糟野 健司 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (60455243)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 酸化ストレス / FSP1 / チオレドキシン / PET/MRI / サイクロプリン / 抗酸化薬 / イメージング / 腎障害 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、① 独自開発した酸化ストレス・イメージング技術とバイオマーカー技術を用いて、生体内酸化ストレスを可視化・定量化する手法を確立する。② 我々が発見した抗酸化物質である分泌型FSP1とチオレドキシン誘導剤の実用化を目指し、種々の腎障害モデルでの効果を検討する。 ③ 独自開発した酸化的損傷サイクロプリン定量法を用い、酸化ストレスによるDNA損傷と腎障害の関連を明確にする。診断、治療、および進展機序のすべてにおいて独創的アプローチを用いた本研究の遂行は、抗酸化薬の適切な治療対象と治療時期の判定を可能とするとともに、酸化ストレスに起因する腎障害の発症機序に新しい基盤概念を創出する。
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研究実績の概要 |
1) 分泌型FSP1の作用が受容体であるRAGEを介することを明らかにするために、分泌型FSP1の受容体であるRAGE発現をノックアウトしたmProxをCRISPR/Cas9によるゲノム編集で作製した (RAGE-/-mProx)。RAGE-/-mProxでは、分泌型FSP1により発現誘導されるslc7a11, cystathionine, sqstm1, HO-1 mRNAの有意な発現誘導は認められず、これらの因子発現誘導はRAGEを介するものであることが確認された。2)分泌型FSP1は、mProxにおけるリン酸化AKTの発現を誘導し、Nrf2の核内移動を促進したが、RAGE-/-mProxではリン酸化AKTの発現誘導もNrf2の核内移動も観察されなかった。3) 分泌型FSP1はmProxにおける還元型グルタチオン(GSH)の発現を誘導したが、酸化型グルタチオン(GSSG)の発現は誘導しなかった。4) 分泌型FSP1の腎における代謝経路を明確にするために、リコンビナントFSP1投与後のマウス腎内におけるFSP1の局在を蛍光抗体法で明らかにした。投与後120分には、ほぼ全てのFSP1が尿細管上皮細胞のライソゾームに取り込まれ、240分後には分解されていた。5) われわれが開発したPETプローブである64Cu-ATSMが酸化ストレス部位に集積することを動物実験で検討した。ラットに虚血再灌流モデルを作製し、64Cu-ATSMを投与しオートラジオグラフで腎内発現量を検討したが、正常ラットと有意差を認めなかった。 64Cu-ATSMの蓄積量が腎血流量の影響を受けることが示唆されたため、次年度は腎血流量による補正を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に主要データが集積されているため。
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今後の研究の推進方策 |
1) 酸化ストレス・イメージングの実施 [64Cu]-diacetyl-bis (N4-methylthiosemicarbazone) (64Cu-ATSM) は低酸素イメージングとして開発されたトレーサーであるが,早期相では脳血流の評価にも用いられる。従って、64Cu-ATSM PET/MRIを腎内酸化ストレス・イメージングに用いるには腎血流量(RBF)による補正が必要である可能性が高い。そこで、RBFのスタンダードであるASL-MRIを用いたRBF (ASL-RBF)、血中クレアチニン値から推算したRBF (eRBFcr)、血中シスタチンC値から推算したRBF (eRBFcys)、と64Cu-ATSM PET/MRIを用いたRBF (PET-RBF)の相関を検討する。健常者5名, 各種CKD患者10名に対し64Cu-ATSMを静注し, 腎臓を含め腹部PET/MRIを撮影する. 血中CrとシスタチンC (cys) から推定式を用いeGFRを算出し, Ht, FF値からRBFを推定 (eRBF) する. 両画像から得られたRBFの平均値 (mL/min/100g) を, MRI画像ら算出した腎容積を用いて, 各腎臓のRBF (mL/min)に補正し, eRBFと比較する. 2)われわれが発見した抗酸化物質を用いた検討。 2022年度、われわれは分泌型FSP1がNrf2活性化に関与する4因子(HO-1, slc7a11, cystathionine, sqstm1)の発現を誘導することを尿細管上皮細胞株(mProx)で明らかにした。また、CRISPR/Cas9によるゲノム編集で分泌型FSP1の受容体であるRAGE発現をノックアウトしたmProxでは、分泌型FSP1による4因子の発現が有意に抑制されることも確認した。われわれはすでに、分泌型FSP1の腹腔内投与あるいはポドサイトへのFSP1遺伝子導入により、シスプラチン腎症による急性腎障害が有意に改善することを明らかにしている。2023年度は、RAGE KOマウスを用いた場合、FSP1の腹腔内投与あるいはポドサイトへのFSP1遺伝子導入による腎保護効果が消失するか否かを検討する。
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