研究課題/領域番号 |
20H03718
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
渥美 達也 北海道大学, 大学病院, 教授 (20301905)
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研究分担者 |
藤枝 雄一郎 北海道大学, 大学病院, 助教 (70790872)
奥 健志 北海道大学, 大学病院, 講師 (70544295)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2020年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
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キーワード | 精神神経SLE / 抗リン脂質抗体(aPL) / 全身性エリテマトーデス / 認知機能障害 |
研究開始時の研究の概要 |
APSは代表的自己免疫疾患であるSLEの類縁疾患で、半数はSLEに合併する。即ち、APSの疾患スペクトラムはSLEに極めて近い。SLEに合併しないAPS(原発性APS)でも、脳梗塞、癲癇、舞踏病、横断性脊髄症、多発性硬化症様病態などの特長ある神経疾患がよくみられることが知られており、aPL関連神経疾患とよばれることもある。申請者は、SLEの多様な中枢神経症状の主要な病態の一つがこのaPL関連神経疾患に属すると考えている。aPLが神経系細胞にもたらす変化を探求、その責任分子や細胞を明らかにする。若年者に重篤な後遺症をもたらしうるAPS/SLEにおける中枢神経障害の予防と治療に貢献できると考える。
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研究成果の概要 |
抗リン脂質抗体であるマウスモノクローナル抗β2グリコプロテインI (GPI)抗体 WBCAL-1の浸透圧ポンプを用いた14日間投与モデルで、海馬CA2-3領域の神経細胞におけるマウスIgG沈着を発見した。神経細胞死は認められなかったが、CD68陽性活性化ミクログリアをWBCAL-1群で多く認めた。海馬領域のbulk-RNAシークエンスによる網羅的遺伝子解析では、コントロール群と差が認められず、β2GPI KOマウスを用いた検討でβ2GPIは海馬CA2-3領域に認めなかった。β2GPI以外の結合因子ならびにミクログリアの活性化機序、表現型に対する影響について、今後も検討を重ねていく。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
神経症状は数ある膠原病の病変のなかでも重要で、免疫抑制療法は進歩しているが、中枢神経症状を発症し寛解導入できなかった患者は社会的制限を強いられる。本研究は、抗リン脂質抗体が中枢神経へどのように影響を与えるかを評価した。特に抗リン脂質抗体は海馬CA2-3領域の神経細胞に沈着し、機能へ直接影響を与える可能性、その結合にβ2GPIを介さない可能性、また同領域のミクログリア活性化が明らかとなった。局所的な神経機能変化や炎症が、若年者に重篤な後遺症をもたらしうる抗リン脂質抗体を介した神経病変に関わる可能性を示し、今後の研究、病態予防や治療の原石となるという点で社会的意義がある。
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