研究課題/領域番号 |
20H03748
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
太田 智彦 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 教授 (60233136)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2020年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | 乳がん / 子宮内膜がん / KDM4B / Fbxo22 / エストロゲン / DNA修復 / DNA損傷 / AKT / 内分泌療法 / ER / HER2 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは、乳がんの内分泌療法感受性を制御するメカニズムとしてFbxo22による転写調節因子KDM4Bの分解がエストロゲンシグナルの停止およびエストロゲン受容体(ER)モジュレーター(SERM)のアンタゴニスト作用に必須で、Fbxo22陰性乳がんは内分泌療法抵抗性となり、予後不良であることを見出した。本研究ではこのメカニズムの異常がER経路とHER2/PI3K経路のクロストークのキーイベントであることを証明し、HER2/PI3K経路が活性化したLuminal乳がんに対する内分泌療法感受性マーカーおよび治療薬を開発するための基盤とする。
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研究成果の概要 |
ユビキチンリガーゼFbxo22によるリジン脱メチル化酵素KDM4B制御が乳癌および子宮内膜癌の発癌と治療に果たす役割について解析した。その結果、AKTによるKDM4Bのリン酸化が、Fbxo22によるKDM4Bのユビキチン化を阻害し、KDM4Bを介したエストロゲンシグナルを助長した。キナーゼXがKDM4BのDNA2本鎖損傷部位への集積に重要で、その阻害剤により、DNA修復が抑制され、相同組換え修復不全を有する細胞と合成致死が生じた。タモキシフェンによる子宮内膜の変化では野生型が増殖症にとどまるのに対し子宮内膜上皮特異的なFbxo22-cKOマウスでは全例に異形性増殖症ないし内膜癌の発症を認めた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
AKTによるKDM4Bのリン酸化がKDM4Bを介したエストロゲンシグナルを助長することはLuminal/HER2乳がんが内分泌療法に抵抗を示す機序として臨床的に非常に重要である。キナーゼX阻害剤が、相同組換え修復不全を有するがんの治療薬として有望である可能性が示唆された。Fbxo22欠失により、タモキシフェン投与や、E2が低下する発情後期においてもエストロゲンシグナルが継続して子宮内膜上皮の増殖を誘導して発がんすることは、乳がんタモキシフェン治療における合併症としての子宮内膜発がん発症のメカニズム解明に向けたモデルとして重要である。
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