研究課題/領域番号 |
20H03750
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
神田 光郎 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (00644668)
|
研究分担者 |
小寺 泰弘 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10345879)
横島 聡 名古屋大学, 創薬科学研究科, 教授 (10376593)
田中 千恵 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院准教授 (50589786)
清水 大 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (50723037)
山口 繭美 名古屋大学, 創薬科学研究科, 特任助教 (80822345)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
|
キーワード | 胃癌 / 分子標的治療薬 / がん抗体医薬 / CHRNB2 / コンパニオン診断 / 肝転移 / KLRG2 / Transcriptome解析 / 分子標的治療 |
研究開始時の研究の概要 |
CHRNB2を標的とした抗体医薬創薬ならびに治療奏効度を予測するコンパニオン診断技術の開発を目的として、以下の実験を行う。 Ⅰ. メカニズム解明:KOマウス解析、機能解析、シグナル解析、正常組織中発現解析 Ⅱ. ヒト化抗CHRNB2抗体:抗体合成、薬効評価 Ⅲ. 抗体のprofiling:アフィニティ測定、エピトープマッピング Ⅳ. 抗体-化合物複合体:化合物スクリーニング、複合体合成、薬効評価 Ⅴ. コンパニオン診断:臨床検体でのCHRNB2発現解析、臨床病理学的因子との相関解析
|
研究実績の概要 |
新規作用機序から胃癌を制御しうる薬剤開発を目指し、アセチルコリン受容体サブユニットCHRNB2を阻害する抗体医薬による創薬研究を進めてきた。ポリクローナル抗体での標的エピトープのスクリーニングを経て抗CHRNB2モノクローナル抗体を取得している。本研究では、Nakedな抗体の薬効をさらに増強するモダリティとして抗体-薬物複合体の開発、抗体医薬の作用機序の明瞭化、ヒト化抗体の取得と活性評価、治療奏効度を予測するコンパニオン診断技術の開発を目的として実験を進めてきた。 R4年度は、以下の成果を得た。マウスモノクローナル抗体のアフィニティ解析をビアコアにて実施した。ペプチドCTFLHSDHSAPSSK に対してsensorgram を作成し、KD値が5.0 nMであることが判明した。抗体合成のノウハウを有する企業と協議を重ねた結果、取得したハイブリドーマから産生されるIgM抗体をヒト化することは技術的に困難であるという結論に至った。本創薬コンセプトの成果を最大化すべく、抗体-薬物複合体合成を進めた。試作品としてモノクローナル抗体と天然化合物lomaiviticin類の抗体・化合物複合体を合成した。5量体であるIgM抗体にlomaiviticin類(DM1)およびoYoリンカーを結合させたが、十分な活性が得られなかった。そこで、IgMをペプシンで断片化し、抗原認識部位=F(ab)’ にDM1をLC-SPDPで架橋させることとした。UV照射、分解、脱塩カラムでの濾過の作業を経て抗体・化合物複合体を合成した。in vitro細胞増殖能の解析では、CHRNB2抗体-DM1複合体が、抗体単独・DM1単独と比較して、最も強い細胞増殖能阻害活性を示した。 さらに、コンパニオン診断技術開発に向けて、ヒト胃癌組織標本を用いてCHRNB2蛋白の検出を免疫染色法にて行い、至適条件を確立した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は、処理過程を最適化することにより抗CHRNB2モノクローナル抗体とlomaiviticin類(DM1)の抗体-薬物複合体合成を実現した。さらに、この複合体が抗体もしくは化合物単体を凌駕する細胞増殖能阻害活性を示したことから、本研究において最も重要な抗体-化合物複合体のin vivoでの癌細胞増殖抑制効果の評価が、研究期間内に実施可能であると考えている。また、薬効の評価と同様に重要なコンパニオン診断技術開発に向けては、すでにヒト組織を対象とした免疫染色法の条件設定は完了しており、かつ評価のためのサンプルは準備されているため、令和5年度に速やかに着手できる状態にある。
|
今後の研究の推進方策 |
モノクローナル抗CHRNB2抗体のin vivo薬効評価(研究代表者 神田、研究分担者 清水):マウスモデルに対する抗体投与の癌進展抑制効果を調べる。 抗体-化合物複合体の薬効評価(研究代表者 神田、研究分担者 横島):in vitroでの結果をもとに抗体-化合物複合体の薬効をin vivoで評価する。nakedの抗体との薬効比較も行う。 コンパニオン診断技術開発(研究代表者 神田、研究分担者 田中・小寺):ヒト胃癌組織検体を対象に免疫染色法を実施し、組織中CHRNB2蛋白発現強度と再発形式や予後を含めた各種臨床病理学的因子との相関性を解析する。
|