研究課題
基盤研究(B)
がん死亡の約9割はがんの転移によると考えられているが、現在、がん転移の予防や治療に有効な方法がなく、新しい予防・治療方法の開発が強く望まれている。本研究では大腸がん細胞自身が引き起こす炎症どのようにがん微小環境に影響してがんの発生や浸潤・転移に寄与しているかのメカニズムを明らかにすることを目的とし、その知見を元にヒトに応用できる新しい大腸がん転移予防・治療法の開発を目指す。
現在、がん転移に対する新しい予防・治療方法の開発が強く望まれている。慢性炎症はサイトカインを介してがん細胞の増殖や生存を直接的に促進する事に加え、免疫細胞や線維芽細胞などのがんの微小環境に影響を及ぼす事で間接的にがんを進展させる。これまでは免疫細胞側のサイトカインやケモカインに注目したがん微小環境の研究が主流であったが、今回の研究では、「腫瘍惹起性炎症」、つまり大腸がん細胞自身のドライバー遺伝子変化やそれに伴う炎症再生シグナルの活性化がどのようにがん細胞からのサイトカイン・ケモカインの産生増減を誘導して慢性炎症やがん免疫に影響しているかを、新規技術であるオルガノイド培養とゲノム編集、網羅的解析などを駆使して明らかにすることを目的とする。その知見を元にがん微小環境を免疫抑制から抗腫瘍免疫へと変換する方法を開発し、ヒトに応用できる新しい大腸がん転移予防・治療法を提唱する事を目標とする。大腸がんの発がん過程に関与するがん遺伝子とがん抑制遺伝子の遺伝子改変を行い、実験に使用する改変腸オルガノイドを作製する。また遺伝子改変のために、腸オルガノイドを用いて、レンチウイルスとCRISPR/Cas9システムにてゲノム編集を行うか、ノックアウトマウスの腸からオルガノイドを樹立した。さらに IL-6 familyの共受容体gp130の下流で活性化する炎症再生シグナル伝達経路を活性化したオルガノイドを作製し、遺伝子発現解析を行なった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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