研究課題/領域番号 |
20H03770
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
毛受 暁史 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30527081)
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研究分担者 |
佐藤 篤靖 京都大学, 医学研究科, 講師 (30706677)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2020年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | EGFR / p53遺伝子変異 / 上皮間葉転換(EMT) / Transgenic mouse / 薬剤スクリーニング / p53変異 / RNA-seq / 浸潤転移能 / 肺癌 / 浸潤転移 / 上皮間葉転換 / 上皮間葉転換(EMT) / 変異p53誘導 / 肺癌悪性化 / p53 / 薬剤耐性 / 上皮間葉転換 (EMT) / 変異p53 / スタチン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、癌細胞におけるEMTによる浸潤転移能を直接標的とする治療法の開発を行う。肺癌において変異型p53誘導性EMT活性化メカニズム解明と、新規治療薬創出に向けた創薬研究基盤の確立を目的とし、p53遺伝子変異誘導性EMTに基づく、肺癌悪性化進展機構解明、同EMT経路を標的とした化合物スクリーニングを施行する。さらにトランスジェニックマウスを用いたp53遺伝子変異発現とEMTによる腫瘍悪性化進展の検証や各driver mutationとの相互作用、ヒト臨床検体に対する薬剤の抗腫瘍性の確認を実施する。結果、新たな癌治療戦略を採ることが可能となり、癌治療のパラダイムシフトにつながることに期待できる。
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研究実績の概要 |
2022年度は、p53変異によるEMT活性化の相違を解析することで、EMTがどのよう経路が活性化しているかについて明らかに使用としている。今回、機能亢進型や機能抑制型など様々なタイプの変異型p53ベクターの作成を行い、現在まで合計10種類のHotspot変異型p53ベクターを作成した。それらのベクターによる肺癌細胞株への遺伝子導入を行い、structural type mutationよりもcontact type mutationでEMT活性が亢進していることが確認された。このうち、最もEMT活性化がみられる2種類やEMT活性みられない変異、negative controlの4種類のtransformed cellsをRNA-seq/miRNA-seqを行い、EMT活性化がみられるtypeにおける活性化経路を見出した。またEMTの際に活性化するシグナル経路であるArf6-AMAP1経路とPD-L1発現について解析を進めた。結果、AMAP1発現低下により、negative feedbackと考えられるEGFR経路の活性化が起こり、その結果として、PD-L1発現が上昇することを見出した。 次にluciferaseを利用したpromoter reporter assayによるhigh through-put screeningの系を立ち上げ、TGFb誘導性EMT抑制薬として、7種類のcompoundを見出し、そのうち3種類はTGFb受容体阻害剤であり、我々の系の有効性が示され、これを論文化した。この系をEMTを起こす様々な細胞株に応用し、同様の実験を行うことを計画している。 またEGFR変異transgenic mouseとp53変異transgenic mouseを入手し、それぞれの遺伝子型を確認して、交配をすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
p53変異による肺癌のEMT活性化について、様々なタイプの変異による相違を確認した。全10種類のうち、contact type mutationについては、E-cadherinの低下およびVimentinの亢進やZEB1亢進を認め、EMT活性化が確認できた。Structural type mutationについては、E-cadherinの減少はみられたが、vimentin増加は認めず、partialなEMT活性化が見られたことを見出した。これらの細胞株のRNA-seq/miRNA-seqによる網羅的解析を行い、シグナル解析やontology解析を行い、EMT活性化のみならず細胞骨格経路やROCK経路などの活性化が示された。またEMT活性化のphenotypeとして、in vitroの浸潤能亢進を確認した。 A549肺癌細胞株のTGFβ添加によるEMTを阻害する物質のdrug screeningを前述のHTSの系を用いて行い、約2400種類の既存薬剤、compoundから7種類の薬剤でE-cadherinの発現亢進、vimentinの発現抑制を確認した。実際に見出した薬剤のうち1種類で、EMTの回復を認め、これを論文化できた。これらの系を用いて、p53誘導性EMTに対するdrug screeningを行い、有効な薬剤を検索することが可能となる。 また肺腺癌を発生するEGFR変異マウスを入手した。このマウスにp53変異conditional transgenicマウスを交配させるため、各マウスの遺伝子型を確認した。EGFR-Ex19del mouseとp53-R172H mouseの遺伝子型がheteroであることを確認して、現在交配中である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度については、様々なp53変異導入肺癌細胞株について、RNAseq/miRNA-seqの解析による網羅的解析の特徴や活性化経路を論文化する。そして、これらの経路が実際に活性化しており、阻害する事により、EMTが回復することを確認する。 またp53遺伝子変異導入によるEMTにおいても、その回復を促進する薬剤screeningを行う。様々なDrug screening compound setを使用して、薬剤selectionを行い、ヒトへの応用可能性を探索する予定である。 またEGFR変異mouseとp53変異mouse modelを掛け合わせて、p53変異を有するEGFR変異肺癌発生mouse modelを作成する発生した肺癌を野生型p53のEGFR肺癌と比較し、その組織型やvivo内での腫瘍細胞の挙動の変化を解析する。同時に、腫瘍免疫に関してEMTが免疫逃避にどのような影響を及ぼしているかについて解析を進める。
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